宮沢賢治の家族
清六は縁側で本を読んでいた。
「にっちゃん、なじょした?らずもねく顔が赤いども、それに息さ上がってるし。何かあった?」
あっと清六は言ってニヤニヤした。
「あの綺麗な人と何かあったなぁ。」
「何もない。」
賢治は頭を掻いて俯いた。
「今日は山本さんには実家さ、泊まってもらう、清六、案内してくれ。」
「にっちゃんのところに泊まればいいのに。」
「馬鹿いうな。」
賢治はまたソワソワした。
清六さんは始終ニコニコしていた。
「兄さんがあんなに焦っているのは久しぶりに見ました。」
そう言うと清六さんは家の奥へかけて行ってしまった。
賢治の両親は夏子をとても歓迎してくれた。そして、夏子が未婚であると知るともう始終ニコニコしていた。
「まさか、賢治にこんな美人の女性の知り合いがいたとは、やつも隅におけないですな。」
政次郎が言った。
「いえ、わたしは賢治さんよりも15も歳上ですし、むしろ、政次郎さんの方に近いというか。」夏子は俯いた。
二人ともとても驚いて
「えっ驚いた。てっきり、賢治と同じくらいかと。すみませんでした。」
それからの話は花巻のことばかりになった。大正時代、この歳まで独身でいる女性はあまり良くは映らないだろう。夏子は笑顔で政次郎さんの話を聞いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます