タイムトラベル
それからと言うもの、夏子は薬を飲む、寝るを繰り返すしかできなくなった。仕事は休まざるおえず、なんにもすることが思いつかなかった。しかし、薬だけは機械的に飲んでいた。薬を飲めば、また明日がやって来てくれる。わたしのままでいられる。それは確かなことで夏子を安心させた。
部屋はみるみる物が散らかっていった、あるとき、足でテレビのリモコンのスイッチを押してしまった。一度テーブルから落としてしまったのをそのまま放置していた。たまたま、夕方のニュースの時間だった。テレビではキャスターが妙に明るい声で何かを説明していた。時空を自由に行き来できるタイムポケットなるものが発見され、将来タイムトラベルが可能になるのではないかと言うもので、インタビューされた人々はみんな楽しそうにしたいことを語っていた。
「タイムトラベル」
頭からその言葉が何故か離れなかった。夏子は「タイムトラベル」と言う言葉で、ある夢を思い出したのだった。それはなんで今まで忘れていたのかと思うほど、素敵な夢だった。
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