#003 真夏の冷蔵庫

真夏の夜、暑さで眠れず目が覚めた。

窓を開けていても、暑くて苦しい。

エアコンをつければ涼しくなるけど、ちょっと負けた気がしてつけたくない。


暗い部屋の中、明かりをつけずに冷蔵庫に向かう。


扉を開けると、ぼんやりとした明かりと一緒に冷たい空気が流れ出てくる。

体に触れると、体温との温度差でぞくっとする。あまりの心地よさに、中に入りたくなる。


そうだ、牛乳を飲もう。


手に馴染んだ牛乳パックを取り出し、清らかな透明のグラスに注いでみる。

白と透明が混ざり合う様は、まるで月光が水面に散りばめられたかのようだ。


液体を口に入れると、冷たさが喉を通って胃の奥まで届く。

その瞬間、体の熱が少し和らいだように感じられた。

しばらくの間、私は救いを感じる清涼感に包まれていた。


しかし次の瞬間、ふと気づいた。牛乳の賞味期限が過ぎている。

胃がきりきりと痛み出す。


こうして私は、夜半の冷蔵庫に潜む危険と向き合うことになったのである。

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