第二話「四姉妹の早苗さん」
R18版
https://kakuyomu.jp/my/news/16818093075340626293
「はい、カット」
監督の声が響き渡り、ドラマの撮影が終わる。
「ありがとうございました」
スタッフに丁寧に挨拶をして早苗はスタジオを後にする。
早苗は幽霊で人間界で活躍する女優の一人だ。
もちろん幽霊だということは人間たちには秘密である。
「早苗さんお疲れ様です」
マネージャーの香山が、早苗の鞄を持ち後ろからついてくる。
「かやちゃん、この後は?」
「はい、この後はグラビアの撮影ですね」
「そう、ありがとう」
「バラエティに、ドラマに、グラビアに、売れっ子は忙しいですね」
「そうね。でも、かやちゃんだって私が仕事の時は同じくらい忙しいんだから一緒よ」
「ありがとうございます!」
香山は車の後部座席の扉を開け早苗が座ったのを確認してから静かにドアを閉め、運転席に移動する。
向かうのは撮影スタジオで、向かう道中たわいのない話をし早苗はその時間のおかげで仕事でのストレスを軽減することができた。
スタジオ入りすると、カメラマンが一人しかおらず、早苗は撮影後の事を察する。
「よろしくお願いします」
いろいろなサービスをした早苗は、カメラマンから封筒に入ったお金を受け取りスタジオ内にある洗面所に移動し、口をゆすぎ顔をあらう、そして軽く化粧をしスタジオを後にする。
迎えにきた車に乗り運転席でシートベルトをしている香山に封筒から適当に半分ほどの万札を取り出し手渡す。
「はい、これボーナスね」
「こんなにいただけません!」
香山が受け取った金額は少なくとも20万近くはあった。
「いいから、もらっときなさい。親に仕送りしてんでしょ」
「なんでそれを!?」
「いろいろな情報がはいってくるのよ」
「それでもこんなに頂けません!」
「なら身体で払う?」
中途半端な行為で欲求不満の早苗は冗談半分、本気半分で香山をからかう。
「わかりました。早苗さん一度決めたら絶対取り消さないですよね。だからこのお金を返す事を拒むと思います。なら身体で払います。だけど私、そのそういうことしたことないんで、挿入とかは……」
「わかったは。決してかやちゃんが不快になることはしないわ」
その提案に早苗は乗ることにし車はラブホテルへと向かう。
ラブホテルの一室に入り、シャワーを浴びてくるといった香山をベッドに座るように言い、早苗は香山の唇を塞ぐ。
最初は軽いキスから始まり、次第に激しくなっていき、舌を絡ませる。
初めての間隔に香山は戸惑いながらも、早苗にゆだねる。
「かやちゃん。可愛いわ」
香山とキスをしその反応をみたことで、早苗は満足し香山を抱きしめる。
「ごめんなさいね。私の冗談に付き合ってもらって」
「冗談だったんですか?」
安堵しつつ残念だと思う香山は自らの意思で早苗にキスをする。
「早苗さん。大好きです」
「私もよ」
早苗は最後に香山の額にキスをする。
「今日は帰りましょう。続きはまた今度ね」
「……はい」
その後は香山の家族の話をしつつ家路につき、高級マンションで早苗は車を降りる。
香山の車を見送った早苗はマンションには入らず歩き出す、着いた先は墓地で早苗は中央にある寂れた寺に向かう。
「早苗さん」
「あら、こんばんは」
「娘がいつもお世話になっています」
半透明のスーツを来た男性が早苗に話しかけてくる。
この男性は香山の父親である。
「お世話になっているのは私の方よ、今日はボーナスを渡したからお母さんの手術費用の足しになると思うわ」
「ありがとうございます。私が早くに死んだもので娘には大変な思いをさせています」
「まあ、私が売れ続けている間は面倒見るわよ。だからあなたも成仏しなさい、機会を逃すと私みたいになるわよ」
「本当にありがとうございます」
早苗は手を振りその場を去り寺の入り口を開け中にはいる、入り口の先は木造の校舎の女子トイレ。
「花子はいなさそうね」
校舎を抜け、30分歩いたところにある雅荘に早苗は帰ってくる。
「今日の晩ご飯はなにかな?」
女幽霊早苗、彼女は人間の世界で売れっ子女優をしている。
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