第52話  お土産。

 ゴールデンウィークの最終日、知人から紹介された50代女性から電話がかかってきた。


「はい」

「あ、崔君、今〇〇駅やねんけど。ちょっと旅行に行ったからお土産があるねん」

「土産なんて、いつでもいいですよ」

「賞味期限があるから、今スグに来てほしいねん。お願い、来て」

「……」


 その女性は、両手では持ちきれないほどのお土産の紙袋を持っていた。


「とりあえず持ってや」

「え! 僕が持つの?」

「ええやん、それくらい」

「で、僕への土産ってどれですか?」

「あなたへのプレゼントは、わ・た・し」


 僕は、荷物を全部床に置いて帰った。







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