第38話  カズヤ君⑭

「崔君、アカンわ。“ホテル行きませんか?”って言うても、誰もOKしてくれへん」

「そりゃあ、そうやろな」

「崔君が言えって言うたやんか」

「まあまあ、そんなことはええやんけ。ほな、どうする?」

「どうしよう?」

「やりたいようにやってみたら?」

「俺は、ホテルに行きたいだけやねん」

「だからって、いきなりホテルと言われてOKされるわけないやろ」

「崔君、騙したんか?」

「いや、これで声をかけるのには慣れたやろ。これからが本番や」

「うん、どうするん?」

「“今日から僕はあなたの犬になります! ポチと呼んでください”、これや!」

「いやいや、さすがにそれはアカンやろ?」



 カズヤ君はやってくれなかった。くそ、知恵がついてしまった。つまらない。







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