第32話  ハイテンション。

 昔、弾き語りをしていたら、50代のオッサンに捕まった。オッサンは僕の歌には興味が無い。ただの話相手だと思って喋りかけてくる。


「儂なぁ、結婚したいねん」

「したらええやないですか」

「でも、結婚するなら処女がええねん」

「処女なんて、今時、高校生とか中学生じゃないと難しいんとちゃいます?」

「あ、あそこに高校生か中学生、5、6人おる。行ってくるわ」


「なあ、なあ、君達、食事行こうやー! 君達、処女か-?」

「いやー!」

「きゃー!」

「何? このオッサン!」



ハイテンションなオッサン。

ちょっとした騒ぎになった。僕はギターを片付けて立ち去った。







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