Miku Tattoo

 Miku Buddhaの後ろには、4枚の板で構成された屏風びょうぶが設置されていました。普通の屏風と違い、表面がでこぼこしており、そこには初音ミクのイラストが描かれていました。


 こちらは猪瀬氏と、イラストレーターのixy氏のコラボ作品だったそうです。


 屏風の表面がデコボコしているのを見たとき、折に触れて見ていた猪瀬さんのYou Tube shortの動画を思い出しました。


 モデルの方に板の上で寝てもらい、そこに布を被せて液体を塗り。人の型を取るという制作過程を撮影されたものがありました。あの動画の作品は、このためのものだったのかと感動を覚えた記憶があります。


 人の型を取って制作されたものなので、一般的な屏風と違い表面はデコボコ。そこに描かれた初音ミクのイラストも当然歪んでおり、でこぼこ部分には陰影が出来ていました。


 「Tattoo」と題された通り、これを見て瞬間に感じたのは、皮膚に描かれた入れ墨でした。平面に描かれている絵は、本来は二次元のものですが、そこに人間的な陰影や膨らみがあることで、どこか生物的な「生々しさ」を感じたことを覚えています。


 平面上に描かれた二次元のイラストに、三次元的な陰影と生物的な曲線。この組み合わせを見たときのあの感覚を、私はどうしても言葉に変換することができません。


 強いて無理やり言葉にするなら、「二次元的な人形」とでも言いましょうか。この場合、人間的な曲線を思わせる作品を指して「にんぎょう」ではなく、「ひとかた」と言ってもいいかも知れません。

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