第6話 結び目②

Sは自分の気が向く時に私のもとを訪ねてきた。

クラスが同じで毎日顔を突き合わせているから、手を振ったりアイコンタクトしたり出会い頭におしゃべりしたりといったじゃれ合いは欠かさなかった。

だが、ダンスのレッスンや塾の日は別の子たちと帰るから2人きりの時間がない日は多かった。

そういう時は私もSの友達との時間を邪魔しないよう一人で帰った。

Sの顔を見たくて声が聞きたくて待っているのに、他の子と帰る彼女を見届けて自分は一人で帰るのは孤独で惨めだった。

待つ間に他の子に声をかけられてもSを待っているとは言えなかった。

約束もなしに偶然を装い待ちぼうけをするような可哀想な子だと思われたくなかった。

もちろんSにも言えなかった。彼女は私が待っていると知れば放っておかないだろうから。


親や教師は私の変化に気づいていたように思う。

そして背景にSの存在があることも彼らは敏感に感じ取っていた。

Sと関わるのが間違いだと認めたくない一心で、私は頑なに彼らの言葉に耳を貸さなかった。

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