それでも親友なんだ

アキナヌカ

それでも親友なんだ

「ねぇ、和樹~。エッチしようよ~」

「駄目だ、純。勉強が先だ」


「ちぇ、数学が憎い」

「純、お前他は成績良いのに数学だけはダメダメだな」


「数式がどうの、数列がどうのって言われると、僕の頭では分からなくなるの!!」

「数学は数式を覚えて、当てはめて計算をするだけだぞ」


「ねぇ、ねぇ、この勉強を早く終わらせたら和樹が僕を抱いてくれる?」

「明日は休日だしな、俺もそのつもりでいたけど、まぁ純の努力次第だな」


 今日俺たちは期末試験の対策で純は俺の家に来ていた、せっかく俺の恋人の純がいるんだからできればセックスもしたかった。だから俺がそう言うと純は物凄い勢いで数学の勉強を始めた、数式をブツブツと暗唱して次々に覚えていった。純はどちらかというと大人しい性格でマイペースだった、典型的な善人でそれでよく皆に利用されたりもしていた。俺は中学の頃に母親が自殺して凄く荒れていた、それでも純はいつもと変わらずに傍にいてくれた。気がついた時には俺は純が好きになっていた、だから告白したが断られて諦めきれずに先日まで親友という位置にいた。


「和樹、できたよ!!」

「おおっ、やればできるじゃないか。純」


「だって和樹とエッチしたいもん」

「まぁ、休みの前の日しかできないもからな」


「だからぁ、か~ず~き!!」

「おう、何だ?」


 純は必要な勉強を全部済ませると俺に抱き着いてきた、それだけじゃなくてディープキスをしてきたので俺はそれに応えた。見ればもう純のものは立っていて、俺に抱き着いてしきりにすりすりと自分の体をこすりつけた、それが猫みたいで安心して俺は心を許せる相手として認められているような気になれた。だが最近の純は少し変わってしまった、それが俺の心配なところでもあった。純は俺のそんな心配は何も知らずに体をぴったりとくっつけて、そうして俺に何度もキスをしながらこう言ってきた。


「和樹、いつもみたいに滅茶苦茶にして!! 僕の頭がおかしくなるくらい気持ち良くして!!」

「お前の頭がおかしくなったら俺が困るから、まぁそこはほどほどにな。純」


「和樹にだったらおかしくされてもいい、僕そのまま猫みたいに和樹に飼って貰いたい!!」

「俺は山崎純って男に惚れてんの、何も分からない猫なんて飼う気はない」


「ちぇ、僕のこと和樹のものにしてもらいたいのに、二度と離れられないように僕を愛してよ」

「この間まではただの親友だったのに、随分と変わっちまったなぁ。純」


「和樹がこうしたんだよ、僕のことセックスでこう変えちゃったんだよ? 可愛い恋人でしょ?」

「それじゃ、俺の恋人。準備してこいよ、純。俺は部屋を片付けて待ってる」


 俺がそう言うと純は嬉しそうに頷いて走っていった、純はあれからセックスの前の準備を一人でするようになった。時には俺がいないうちにもうそれを済ませていて、純に襲われるようにセックスになだれ込むこともあった。まぁ、俺としては恋人と刺激的なセックスができていいのだが、純はやっぱりだんだん変わっていっているような気がした。学校でも俺の傍を離れないし、皆との話を邪魔したりはしないが、あんまりクラスの連中と俺が楽しそうに話すと後で純がすねてしまうのだった。それに純はクラスの皆からの頼まれごとを、以前と違ってきっぱり断るようになった。


「用意できたよ、和樹。早く、早く、僕のこと滅茶苦茶にして。前儀もしなくていいよ、もう後ろはほぐしてあるから」

「おいっ、学校で一体いつの間にそんなことしてたんだ?」


「えへへへっ、男性向けのエッチな玩具があるんだよ。今日はずっとそれを入れてたの」

「へぇー、それ後で見せてくれよ。純はどんなエッチな玩具で遊んでるんだ?」


「いいよ、後で見せたげる。だから今は僕を滅茶苦茶に愛して、和樹」

「確かに後ろはほぐれてるみたいだな、純。俺にしっかりつかまっていろよ」


「ああっ、入ってくるぅ!! ああんっ、気持ち良い。和樹のって凄く気持ち良いよ!!」

「それじゃあ、いいか? 動くぞ、純。ちゃんと嫌だとか、キツイときは言えよ」


 そう言って俺は純の中に俺のものを挿入して動き出した、挿入している時にも思ったがこの時の純の表情はとろけきっていてとても色っぽかった。そうして激しく腰を振り出した俺に純はぴったりとしがみついてきた、そして俺の唇や首筋にキスをしたりして、純は感じやすいらしく俺がいく前に先にいって俺の背中に爪を立てたりした。爪はいつも綺麗に切っているらしいが、それでも微かに俺の背中には純の爪痕が残っている状態になった、体育の時には着替えないといけないから俺はこっそりと着替えるようにしていた。


「ひぁ!?、ああっ!! 和樹に犯されて僕おかしくなりそう!? 気持ち良い!! 気持ち良いよ!!」

「同意の上でのセックスだろうが、俺を犯罪者みたいに言うなよ」


「だって僕をセックスの虜にしたの和樹だもん!! ああんっ、ああっ、ああっ、いくぅ!!」

「おっ、いっちまったか。純、ちょっと休憩な」


「やだぁ!! 休憩しないで!! いってる時にがんがん和樹に入れられるの好きなのぉ!!」

「あーあ、俺の親友はすっかりエッチになっちまって。よし、お望みどおりにしてやる!!」


「あああああっ!! いいよっ!! 僕いってるのにまたいきそう!! 凄く、気持ち良いのぉ!! ああっ、またいっちゃう!!」

「純、お前が締め付けるから俺もいきそうだ。どうしてこんなに色っぽくなったんだ? ああっ、いく!!」


 そうして俺がいってしまったら、純もちょうどいってしまったらしく虚ろな目をしていた。それでも純がまだ足りないというから、俺はまた純の中に突っ込めるように、純の色っぽい格好なんかを見ていた。乳首はピンと立っていて、はじいてやったら純は甘い声を上げた。俺に突っ込まれた部分を隠そうともしないで、足は開いたままですっごくエロい光景だった。純は俺に見られているのに気がつくと、わざと足を大きく開いて俺のを突っ込むところを両手で開いて見せたりしてくれた。


「和樹ぃ、どう、興奮する? 僕のこと好き? 好きならまた愛して、可愛がって、滅茶苦茶にしてよ」

「煽るなよ、純。また明日立てなくなるぞ、一日ベッドで過ごすつもりか?」


「和樹がいてくれるならどこでも良いよ、ベッドの中で一日中抱いてくれたら最高かも?」

「そんな悪いことを考えている子にはお仕置きだ、ほらっ、純。しっかりと感じろよ、入ったの分かるか」


「ああんっ、これがお仕置きなら僕は悪い子でいいや。もっともっと深くまで入れて!! 和樹ぃ、早く動いてぇ!!」

「駄目だ、お仕置きだからな。じれったくなるくらいゆっくり動いてやる、そらっ引き抜くぞ」


「あんっ!! やあぁ!! もっと早く動いてぇ!! 悪い子でいるの止めるから!! 早く動いてぇ、和樹!!」

「よしっ、その言葉忘れんなよ。お望み通り滅茶苦茶にしてやる、穴が開いて戻らないくらい可愛がってやる!!」


 俺はその言葉の通りに純を激しく抱いた、純は喜んで喘ぎ声を上げていた。俺は純がどんなに悲鳴をあげても手加減してやらなかった、最近はこのくらいしないと純は物足りないみたいだった。今は俺が相手で純は満足しているが、この調子だと俺では満足できなくなるんじゃないか、それが俺にとっては最近の心配事だった。それに毎週俺の家に純が泊まりに来るせいで、純の家族からもちょっとは控えたらと純は言われていた。でも俺に惚れこんでいる純は、家族の言うことも聞かなかった、必ず休みの前の日には俺の家に泊まりに来ていた。


「ああっ!! 和樹、大好き!! 愛してる!! ああっ!! 気持ち良いよ、気持ち良い!!」

「おう、俺も愛してるぞ。純、嫌だったり、キツかったりしないか?」


「凄く気持ち良くて、もう訳分からなくなりそう!! 和樹、好き、大好き、愛してる!!」

「俺で感じてくれるのは嬉しいんだけどな、あーあ。もう多分、後で覚えてないだろ。純」


「やあん!! よく分かんない!! 分からないけど気持ち良い!! 和樹、和樹!! 傍にいてぇ!!」

「ちゃんと傍にいるだろ、お前に突っ込んでるの誰だと思ってるんだ。もう二回くらい抱いて終わりだな」


 純はセックスに夢中になりだしたら、記憶が無くなってしまうことがあった。今日のこともどれだけ覚えているのか怪しかった、記憶が無くてもおねだりはするのだ。まだ足りない、もっとしてと俺は虚ろな目をして俺を誘う純に最後までつきあった、最後あたりは純の体力が切れたらしく純は気絶していた。なんだか俺の望んでいた恋人同士のセックスとは違う気がした、途中まではそうなのだが純の記憶がなくなるあたりから、純を勝手に犯している俺はあの浮気者のくず親父と同じような気分になるのだ。あの人も考えれば可哀そうな人なのだ、いつも周囲にいる人間から狙われていた。


「……ふぁ~ぁ、和樹。おはよう」

「おう、おはよう。純、朝から熱烈なキスだな」


「だって和樹を見るとすぐ欲しくなるの、今日これからセックスしちゃ駄目?」

「駄目だ、純。明日からは学校だから、授業に影響するといけない」


「むぅ、和樹って僕に優しいけど頑固なんだから!! セックスしたくらいで学校行けなくなったりしないもん!!」

「それじゃ、今すぐ立ち上がってみろ。純、ほらっ、ふらふらしてる立てないだろ?」


「もう学校とか友達とか面倒くさいなぁ、地球に和樹と二人だけでいれれば良いのに……」

「食料はどうするんだ、インフラは誰が管理する、それは不可能だ。純」


 純はふらりと気だるげにおぼつかない足取りで立ち上がって、胡坐をかいて座っていた俺を椅子のようにして座った。ご機嫌斜めなのは何となく分かったが、何を考えてるかまでは俺には分からなかった。そうしたら純は今度は凄く勉強して偉くなって、日本でも同性婚を認めさせると言いだした。確かにそんな法律ができれば俺は純と結婚するだろう、でもそれは今すぐにできるものじゃなかった。純は不安そうに俺を何度も何度も見た、俺はどうしたんだと優しく純の髪を撫でながら聞いてみた。そうしたら、純は思いもしないことを言い始めた。


「和樹ってモテるじゃない? 僕とのセックスで満足してる?」

「俺はお前を抱くまで童貞だった男だぞ、もちろん十分に満足してるし、やり過ぎじゃないかと思うくらいだ」


「可愛い女の子とか、綺麗な男の子と浮気しない?」

「純、俺は浮気する奴が嫌いだ。知ってるだろ、だから浮気はしない」


「……僕のこと好き? 愛してる?」

「俺は純が好きだ、もちろん愛してる」


 俺には純が何かを怖がっているように見えた、だからなるべく優しく純が安心できるように抱きしめた。すると今度は何故か純が泣き出してしまった、何も言わずにボロボロと涙を零すものだから、俺はその涙を指で拭ってやりながら心配になった。もし純が俺との関係に満足できていなくて、別れ話を言いだされたらどうしようと思って背筋がゾッとした。でも純は俺に抱き着いて泣くばっかりで本音をなかなか話してくれなかった、俺は辛抱強く純を抱きしめて好きだ、大好きだ、そして愛してると囁き続けた。そうしたら、やっと純が口をきいてくれた。


「ぼっ、僕。セックスの時、おかしくなっちゃうでしょ。途中から記憶もなくなっちゃうし、それでも和樹はいいの?」

「俺の方は何も問題ない、記憶が無い時の純も可愛いぞ。俺が心配してるのは、純が俺とのセックスに飽きることだ」


「そんなことあるわけない!! 僕は一週間ずっと和樹に抱かれることだけを考えてる!! でも最近の僕はさ、皆に嫉妬しちゃって優しくできないし、和樹の好きな僕じゃなくなっちゃったかなって心配で」

「純がヤキモチを焼いてくれてるとは知らなかった、それも嬉しいだけで何も今までの純と変わらないよ」


「和樹がそう思ってくれてるならいいや、僕は変わったって和樹に思われること、それで嫌われたりすることが不安だったんだ」

「言ったろ、俺はお前に惚れてるんだ。そう簡単に気持ちは変わらないよ、純」


 俺がそう答えると純は笑顔になって俺に向き合って抱き着いてきた、そうして濃厚なキスをされたから俺もそのキスに応えた。確かに純が変わってしまった部分はいくつかある、でも俺を好きにさせた純の根本的な優しいところは変わっていないと思うんだ。俺は純の恋人になったが、今でも純の親友でもあった。キスしたり、セックスしたりしていてもそういうところは変わらないと思った。俺の腕の中にいる純は今はもうご機嫌で、俺にもたれかかって眠そうにしていた。こういう何気ない日常を純と一緒に過ごせることが幸せだ、俺はそう思って眠ってしまった純に向かってこう囁いた。


「俺たちは恋人になったけど、それでも親友なんだ。だから純が何か間違いそうになったら俺が止める、だから純は心配しなくたっていいんだ。だって俺たち親友なんだからな、純」

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