第3話 ありがたーい話

校長はそう言って椅子に座った。


「君がやった破壊行為は良くないことじゃ、信号をぶっ壊す事例を聞いたことはないから知らんが、なんかの法律に違反してると思う。」


「…でしょうね。器物損壊とか?」


「じゃが、歩車分離信号にこの町が苦しめられているのも事実なんじゃ。」


「…え?」


「おかしいとは思わんか?君は今日だけで15台ほど歩車分離信号を破壊した。じゃがこの町には今確認されているだけで300台ほど歩車分離信号がある。」


「そんなに!?ありえない…。」


「そうじゃ。ありえないんじゃ、つい数ヶ月前まで、歩車分離信号なんてほとんどこの町になかったはずなんじゃ。それが、工事の形跡もなくこんなに増えている。つまり誰かが密かに信号を歩車分離信号に置き換えているんじゃ。」


「誰がそんな酷いことを!!!僕は、僕はこれからどうやって生きて行けばいいんですか!?全信号が歩車分離信号になったら、うざったらしくてしょうがない!」


「すでにさまざまな影響が出ている。1キロ先に行くのに徒歩で1時間かかった、といった報告も寄せられている。こんな状態ではいずれ、誰も信号を守らなくなるじゃろう。交通ルールの悪化は自動車学校としても看過できない。」



「そこでじゃ、君、この学校の職員として、歩車分離信号を破壊して、普通の信号に戻す仕事をしてくれないか?」


「え?」


「まあ、今までやっていたことを合法的にやれるってことじゃ。その仕事に就けば今までやっていた犯罪も不問にできる気がする。司法取引的な感じで。」


「校長、なんか適当なのでは…?」


「まあいいじゃん、それで、やってくれるか?」


「もちろんやります。歩車分離信号が増えるなんて許せない、全部破壊します。」


「いや全部というわけではないんじゃが…」

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歩車分離式信号討伐記〜あの日の恨み〜 ポテトイーターズ @potetoeaters

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