第2話  素質

「校長。捕らえました。もうすぐ到着します。」

「おお、捕まえたか…。ならず者かもしれんがそいつには素質があるかもしれん。早くこちらに寄越してくれ。」

「もちろんです。」



ブルーン…。


僕が手当たり次第に歩車分離式信号を破壊したお陰で車はかなり速いペースで進んでいる。しかし、一体どこに連れて行かれるんだ?確かに犯罪はしているとは思うが、学校に連れて行かれるのは良くわからない。


「降りろ。」

「ハイ…。」


「え!?教習所!?」


看板には「分離市自動車学校」と書いてあった。

校長ってそういうことか!僕は信号機を破壊した罪を教習所で償わされるのか?警察じゃなくて!?


「早く入れ!」

「ハ、ハヒイ!」


─分離市自動車学校拷問室─


「ハ、ハヒ!?拷問室!?」


なんか爪剥がす装置とかアイアンメイデンとかおいてある部屋に来てしまった!え!?殺人してないよ!?僕殺されるの!?


「ハ、ハヒ!ハヒハヒ!ハヒハヒハヒフヘホ!?」

「何言ってるんだお前!?校長…こいつほんとに使えるんですか?」

「まあこんな場所に入れられたら怖いじゃろ。」


このおじいさんがこの学校の校長かぁ…。まあ、どうでもいいや、多分殺されるし…。


「落ち着いてくれ、わしらはただ君がどうして信号を破壊したのか知りたいだけなんじゃ…。」

「へ…?」

「君は歩車分離式信号だけを狙って破壊していた…。何か理由があるのか…?」


正直に言うか…。異常者扱いされるだろうけど…。


「僕、歩車分離式信号の事が大嫌いなんです。車も歩行者も長時間またなきゃいけないし、経済にも精神にも悪いです。奴らは僕を幾度となく遅刻に導きました…。」

「君は真面目なんじゃの。無視したらいいんじゃないのかい?」

「そんなことできませんよ!?第一、教習所の校長がそれ言うのどうなんですか!?」

「まあそれもそうじゃな。」


校長は一度席を立ち、隣に立っていた職員と話している。

「校長、こいつどうなんですか?もう私には頭おかしいやつにしか見えませんけど、なんでイラついただけで信号ぶっ壊すんです?」

「まあ変な奴ではあるな。だが、素質ありじゃ。」

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