歩車分離式信号討伐記〜あの日の恨み〜

ポテトイーターズ

第1話  楽しい破壊活動

ガシャン!ガシャシャン!ガシャシャシャン!!

ガツン!ガツン!ガツン!

ドガガガガガガガガ!!

「お、おい君、何をしているんだ…!」

「…。」

「なんで…なんで信号機を壊しているんだ!?」

「……。」トコトコトコトコ。

「何だったんだ…。」


僕は異常者ではない、信号機が悪いんだ、歩車分離式信号なんて、この世に存在していいはずがない。人々の行く手を阻み、経済を停滞させ、とにかくすごいイライラする、あんな物があっていいはずがない。あの日から僕は僕の目に入った歩車分離式信号を片っ端から破壊している。トンカチ、ドリル、バール、火薬の使用も検討している。それでもあのクソ信号につけられた傷は癒えない。


トコトコトコトコ。 交差点が見えてきた。


「お、歩車分離式この世に必要ないタイプの信号を見つけたぞ」

「周りに誰もいない、誰にも邪魔されずにぶっ壊せるぞ。」

「トンカチ君♪」

ガツン!ガツン!ガツン!ガツツツツツ!

「ドリル君♪」

ドガガガガガガガギガガ!!ドンガラガッシャン!

信号が音を立てて倒れた。

「よし、あとは仕上げに硫酸掛けとくか。」

ジュワー……。


これで町内の歩車分離式クソみたいな信号は12機破壊した。…冷静に考えると多すぎやしないか?普通、歩車分離式超バッドな信号なんてそんなにないし、今までなかった場所にも歩車分離式スーパークソクソ信号が設置されている気がする。何故かわからないが破壊しても破壊してもこの町には歩車分離式make me 不快信号がたくさんある。こりゃ掃討には時間がかかりそうだ…


トン。 


急に肩を叩かれた。


「こいつか?」

「…ああ。」

「…ア、アノ…ナンデス?」

何だか怖そうな人たちに話しかけられた。とてもこわい。信号機を破壊するようになってから、犯罪を犯す程度の勇気はいつでも持てるようにはなったが、僕の本性は怖がりの人見知りなんだ。話しかけないで欲しい。

「アノ…エト…。」

「校長がお前を呼んでいる。」

「ハフ…?」

「早く車に乗れ!」

「ハ、ハイ…。」


ブルーン…。

一体どこに連れて行かれるんだろう。校長って誰?僕は学生でもなんでもないんだけど…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る