Episode:3 Call phone from the stranger

「それは、どうやって聞いたんですか。オレの母親から」

カゲフミは勘ぐっていた。本当にこの人が自分の親に会ったコトがあるのか、と。

「…電話よ」

え…!? そんなおかしい…何でアイツがこの人の連絡先を知ってるんだ…!!

「まだ…オレの母親との通話履歴は残ってるんですか?」

「…残念だけど、もう無いわ。ていうか一〜二ヶ月ぐらい前に電話が来たから、

どのみち自然に消去されていったものだし」

「…そうですか。まあいいです。アイツらが何処でどんなコトしてようと勝手。

例え生きてることを知ってたとしても。」

「…! 思い出した…!」

ミヅキさん…何か気付いたコトでもあったんだろうか。

「…カゲフミ君が来てからね…至る所に謎の小型カメラが配置されてた。

それにキミの部屋にも、今乗ってる車にさえも、全く同じものが置かれてた。

本当に小さかったから、目細めたりしないと、見るのは難しい気もするけどね。」

「…待ってよ。それってつまり…!!」

ああ…そういうコトか…全て見抜けたぞ……アイツらの陰謀が!!

「今のところ、その人達の計画通りに物事が進んでるってワケね。

もともとカゲフミ君を泊まらせてから、一緒に服屋に行ったのも…。」


何故か自分の体が、激しく震えていた。察知したのだ。危険を。


「…ミヅキさん達…ヤバい事態に…遭う…かもし…れない…。」

「…え。どういう意味だよ?」

「一応息子だから分かるんですけど…小型カメラが置かれてるのは、

アナタ達が狙われてる証拠です…。こういう時はたいてい家に侵入されて、

寝てるところを…殺されます。」

「…!!!」

3人には再び衝撃が走った。自分達が狙われてるコトに、

今まで何一つ気付かなかったからだ。

「いつ…!? いつ来るかは分からないの?」

「…過去にも事件が発生してたみたいなんで、自分自身調べてみました。

数件発生はしてましたけど、どの時間も全部小型カメラが置かれた一週間後に、

殺されていました。なんで過去とパターンが同じならば5日後、

家に侵入されます…!!」

「…待って。よくよく考えたら分かるけど、何で過去の事件に遭った人達は、

全員来たことに気付いてないの?。普通インターホンの音や、

ドアが閉まる音とかで、誰か来てることに気づかない?」

「…オレ達は生まれた時一つ、”特殊能力”を与えられませんでしたか?」

「…それはそうだけど…」

ミヅキさんのお父さんの声には、疲れが混じっていた。

「この時二人は、”音を消す”能力を与えられたそうです。それにこれは、

音を消す能力と、自身の体を一時的に透明化させる能力も兼ねてるモノなんで、

だから実質、体の透明化もできるから、侵入されるコトは、

九割九分気付けないんですよ。」

「オレは”敵視したモノを遠ざける”能力を選んだから、

心配はあまり無いと思うけど…2人が心配だ。」

ミヅキさんのお父さんは、そう言った。

「ていうか、それ誰情報? 話したら、後々それを上手く利用されて

立場が逆転することもありえるコトない?」

「…両親の生みの親、爺ちゃん婆ちゃんから。」


それを言ったタイミングで、丁度家に到着した。


「…家に戻って、詳しく話そう。無防備な状態だから、マジで危険だ」

「ですね。」

ミヅキさんの父親に言われて、返事をしたカゲフミは、

段々とこの人達との生活に馴染めているなと感じていた。


———一方その頃、”Ultimate Curse”は、逃亡した犯罪者の始末の任務を

達成しに、森林へと脚を運びつつあった。


「…今回の依頼は、普通で本当に良かったよ。そこにいるんだろ?」

「ヴゥゥ…。」

唸っている…よっぽど体力を、消耗し切ったんだろうな。

「声も出せないくらいに、ここまで逃げて体力使い切ってんだなァ。

助けはやりたいが、任務は任務。それに犯罪者だ。だからオマエを

助けてやるワケにもいかねェんだわ。」

「…自分の道を突き進めばいいじゃんかよ…。なのに何でオレを殺そうと———」


…とりあえず右手に握っていた刃物で、ソイツの左腕を落とした。


「どんな事態になってるのか分からんのか…。オレ達”殺し屋”に警察が

始末を依頼したってことは、”警察でもオマエを手に負えなかった”ってコトだぞ?」

そう言って、指を鳴らした。指を鳴らした途端に、犯罪者の体が

青く燃え上がった。


「300人近くを、1分で一人残らず虐殺した愚か者よ…。また、その快感が

血液にねじ込まれた赤血球達よ…今ここで騒げ。殺された者達よ、

”究極の呪い”として、コイツを襲い、死に至らせるんだ…!!」

およそ300人近くの魂が集った究極の呪いは、咆哮をあげながら犯罪者を

激しく混乱させ、死に至らせた。


「…か……アァ……….ヴ……。」

…その身体は、灰一つ残さず燃え尽きた。


「…さて。地獄で助けを呼びな…。」


瞬時にオレは、姿を消した。


「…やっぱりおかしい。こんなに小型カメラを置くほど、両親らが

オレ達に執着してるのは何でだ…?」

「実は過保護な親だから…?」

…何を言ってるんだこの人は。

「ありえない。何にせよ子供を捨てて逃げたんですよ…!?」

「…とりあえずオレ達にできるコトは、できるだけ外出を控えるって

コトじゃないか?

だってこれからの外出も、計画の一部かもしれないし。」

「…ハッキリ言って、ココからはどの行動がヤツらの計画にあるかは分かんない。

だから服屋に行った先の行動は、より一層気を付けないと

いけないってことですよ。」


(プルルルルルルル)


するとミヅキの父さんの携帯に、電話が掛かってきた。

知らない連絡先だったようだ。


「誰だこの名前は…。…もしもし。」

「どうも初めまして。殺し屋の”Ultimate Curse”と申します。

カゲフミという人は、今そちらにいらっしゃいますでしょうか。」

「カゲフミ…!? まさか、その子と関わりがあるんですか?」

「いえいえ全然。その子に伝えたいコトが、あるだけですよ。」

「…一応居るっちゃ居るんで、変わって欲しければそうしますが…。」

「…じゃあお願いします。」


ミヅキの父さんは、電話をオレに代わった。


「…もしもし。」

「…あ、君がカゲフミ君だね? 良かった良かった。」

「…一体何なんですか。伝えたいコトって。」

「…カゲフミ君。衝撃の事実かもしれないど、君を刺したのは…ボクだ。」

「…..!!?」

…電話の声が聞こえたのか、ミヅキさんのお父さんも驚いていた。

「…どういうコトですか。自分の父じゃなかったんですか!?」

「…あ、言い忘れてたけど、君の父親の…命令だ。

”殺せ”とハッキリと言われたよ。」

“父親”というワードのせいで、より一層混乱した。

「…じゃあ何でそれでも…オレは死んでないんですか。」

「さっき言っただろう…? “刺した”のがオレで、”命令した”のがキミの父さん。

命令されたけれどもボクはね、君を殺したくはなかったんだ。だからあえて、

心臓とかの臓器は避けて刺したんだよ。何とか気絶程度で済んだけど、

言わないといけないね。本当に…すまなかった。」

「何でそれを止めなかったんですか。それなら尚更、何で…!!」

「正当防衛のつもりで、ボクはやったつもりだけど。キミの父親の圧に…

負けてしまったんだよ。だから———」


(ブチッ)


どうしても状況が理解できなかったオレは、電話を切ってしまった。

そして力が抜けて手に持っていた携帯も落としてしまい、

その場に倒れ込んでしまった。


「…ハアッ……ハアッ………….ハアッ……..。」

ミヅキさんのお父さんがどうした、と様子を確認した。

「この状態は……!! 母さん!! ミヅキでもいい!! 救急車を呼べ!!

カゲフミが倒れて過呼吸になってる!! 今すぐにだ!!!」


———その後、カゲフミは、救急車で、病院へと運ばれた。


『プルルルルルルル、プルルルルルルル、プルルルルルルル、プルルルルルルル、

…お掛けになった電話をお呼びしましたが、お出になりません。』


「…チッ。」


-To be continued to Episode:4-

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