第4話 転生したらラスボスだったけど、幼馴染みを巻き込まないために正体はバラせない

 時刻は午後3時半を過ぎたころだろうか。


 町の中心から伸びる4つの大通りの交点には噴水があり。その噴水の縁になっている石の部分に座る。程なくして、足音が近づいてくる。


「リアム、お待たせ~!」


 いかにも中世ヨーロッパの白いスーツ(?)を着た、こそが、今世での俺の唯一の幼馴染み。


「おう、遅かったな!何かあったのか?ユーリ」


「ううん、なんでもないよ!それより今日は何する?」


 名前はユーリ。


「そうだなー…町を一周競争しようぜ!」


「えー、走るのキライ…」


 え、走るのは楽しいだろ。


「え、走るのは楽しいだろ。」


 思ったことをそのまま伝えてみる。


「リアムだけでしょ!そんなこと思ってるの。」


 真っ向から否定されてしまった。悲しい。

 

────────────────────────────────────────


「俺の勝ち!」


 腰に手を当てて、これでもかというくらいふんぞり返る。


「はぁはぁ…速すぎるよ…」


 少し遅れてユーリが来る。


 なんだかんだ一緒(?)に競争してくれたユーリは良いやつだなと思う。


「それじゃあ、整理体操するか。」


「整理体操って何?」


 そうか、ユーリは整理体操を知らないのか…というよりはこの世界に体操という行為がないのか…


「…まあ、怪我しないための運動だな、見よう見まねでやってくれ。」


「リアムは何でも知ってるね!!」


 背中に冷や汗が流れた気がした。


「あ、ありがとうな!」


 関係ない一般人ユーリをこれから起こるゴタゴタに巻き込むわけにはいかない。本当なら関わっている時点でダメなのかもしれないが、まあ原作に幼少期のことは描写されてないし、大丈夫だろう…

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