二九章 四葉家、バズる
その日から
臨場感あふれるライブ映像が話題となり、ネット上でバズりまくった。YouTubeではその動画が何百万回と再生され、いまや、日本中で
メディアからの取材申し込みが殺到し、その技術力の高さと注目度に目をつけた企業からは仕事の依頼が舞い込みつづける。
「もう誰も災害で死んだりしない社会を作る」
という理念も大々的に広まり、
「感動した!」
「がんばって!」
との応援メッセージも続々と寄せられた。
さらに、次回コンテストへの参加を表明する企業やチームも相次いだ。
しかし、それらすべてを圧して圧倒的な量だったのが『
ネット上ではいつの間にやら
「このわたし」
と、
「やっぱり、クール無表情系女子は強い」
――もしかして、狙ってやってるのか?
と、
「あ、あたしが二位……」
と、
「三位……。そ、そうよね、長女だもの。栄光は妹たちにゆずらなくっちゃね。ふふ、ふふふふふ……」
妹ふたりに負けて三位に終わった
「
怒りを込めて、そう呟いたのは
「なんで、オレが最下位なんだ!
「い、いや、どういうことなんだと言われても……」
「これ、ほんとに女か?」
「絶対、男子!」
「理想の王子さま!」
といった性別を疑う発言ばかり。しかも、投票者のほとんどが女子という、まさに『王子系女子』の本領発揮と言った展開。しかし、本人はそれがとにかく気に食わない。
「
「い、いや、私に言われても困るんだけど……」
と、こちらも喜んでいいのかどうかわからず『たはは……』と、汗などかきながら頬のあたりをかいてみる
「
と、
やはり、本来、男である身としては誇っていいのかどうか微妙なところであった。
ともかく、
仕事が後からあとから舞い込むようになったので、現場担当の
こうなるともうチーム・ハクヨウから仕事をまわしてもらう必要もない。有名企業から勝手に仕事の依頼がやってくる。その数はとうにチーム・ハクヨウを超えているはずだった。
と言うわけで、チーム・ハクヨウの下請けはやめにして、自分たちの仕事に専念した。それでも、後からあとから仕事はやって来る。こなしてもこなしても仕事はなくならない。
「あ~もう! オレたちだけじゃ、とてもざばききれないぞ。こうなったらいっそ、従業員、雇うか?」
「その前に、工場を広げないと……。この工場じゃそう何人も働けない」
「親父とお袋の残した工場の形をかえるのは、いやだぞ」
仕事で手一杯なのに『空飛ぶ部屋』の理念を広く世間に伝えるためにメディアの取材にも応じなければならない。
それがまた大騒ぎ。なにしろ、芸能界にもめったにいないレベルの正統派巨乳美女。しかも、天然の二四歳。たちまち人気が沸騰し、下手なグラビアアイドルより人気者になってしまった。おかげで、芸能界からも引く手あまた。空飛ぶ部屋とは関係ないバラエティ番組やグラビア撮影の依頼までドカドカ舞い込む始末。それを断るだけでも一苦労だった。
「ああもう! どうして、こんなことになるの⁉ わたしはただの零細企業の社長なのに……」
「自分の胸に手を当てて考えてみるといい」
「なんにも思い当たらないけど?」
「天然……許すまじ」
怨念を込めて、拳を握りしめる
ともかく、
しかし、その
まさに、
「国際NGO団体の代表って言う人から国際電話! 直接、会って話をしたいんだって!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます