第45話 闇夜の暗殺
夜中、上街と下街を隔てる石壁を飛び越える。見張りの騎士は門前を守っているだけで、離れた場所から石壁を飛び越える能力があれば、侵入は容易い。
「まずはルアン・バーン商会に向かうとしよう」
【夜目】で視界を確保し、【抜き足】【差し足】【忍び足】で慎重に移動し、周囲を警戒する。こんな時間に街中をうろつく奴なんていないと思うが、油断はしない。
ルアン・バーン商会に辿り着くと、【解錠】で扉を開けて中に入る。店内には商品が並べられているが、武器や防具でもないし、回収はしない。
回収して現金化するのが面倒というのもあるが、一番は足がつく可能性があるからだ。
今も収納空間には盗賊や犯罪組織から奪った食糧や酒、貴金属がある。食糧や酒はまだいいとして、貴金属の処理は後回しにしていた。
今回の襲撃では奪うのは命と金だけにしよう。
2階に続く階段を上り、【捜索】でルアン・バーン商会長を探す。
(反応あり。右側の一番奥の部屋)
扉には鍵がかかっておらず、ダブルサイズのベッドで寝息を立てているルアン・バーン商会長。ステータスを確認しても、ゴブリン相当。
ベッドに近づき、容赦なく短剣で首を斬り飛ばした。
『スキル【話術】Lv.3を獲得しました』
『スキル【交渉】Lv.4を獲得しました』
『スキル【推測】Lv.4を獲得しました』
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
『
死体は放置し、犯罪組織と繋がる証拠を側に添えておく。
「【捜索】執務室」
執務室には鍵がかけられていたが、スキルで解錠し、中に入る。真っ先に執務机の中を確認し、金庫と犯罪組織に繋がる証拠を発見した。
金庫もスキルで解錠し、金を回収する。そして、もう一度ルアン・バーン商会長の寝室に戻り、追加の証拠も置いておく。
「これで終わりかな」
義賊みたいなことをしているが、正義の心を持ってやってるわけじゃない。合法的に【強奪】で全てを奪えるという打算があってのこと。
次はアイザック・ビスマルク商会だ。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
目的の場所に着き、【解錠】で中に入る。1階の店内を素通りし、2階へ上る。すると、右側の奥の部屋の扉の前に人が立っていた。
「【捜索】アイザック・ビスマルク商会長」
反応を人が立っている扉の中で捉える。この規模の商会になると、用心棒を雇うのか?ステータスはDランク相当。
「瞬時に、目の前へ、
「ッ………」
声を出される前に首を斬り飛ばした。
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
そして、中に入り、寝ているアイザック・ビスマルク商会長も同じように殺す。
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
ベッドの横に用心棒の死体を置き、犯罪組織と繋がる証拠を添えておく。
「【捜索】執務室」
扉を開けて中に入り、執務机を漁る。しかし、証拠も金も無かった。なので、【捜索】で金庫を探すと、後ろの本棚から反応があった。
「本棚に隠しているなんて。面倒かけさせやがって」
数冊の本を取ると金庫があった。しかも、結構大きい。金庫の中を確認すると、金と犯罪組織と繋がる証拠が出てきた。
金を回収し、証拠を死体の横に追加で添えるとその場を後にする。
次はワルド・マーゴット子爵邸だ。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
屋敷の門前には兵はいない。上街と下街を隔てる石壁に騎士がいるので不要ということだろう。
門を飛び越え、屋敷の鍵を解錠し、中に入る。【夜目】で見ると、高級そうな絨毯が敷かれ、一定の間隔で壺や花瓶が置かれており、壁面には絵画が飾られている。
2階の奥の部屋から反応を拾えたが、【魔力感知】【熱源感知】【気配感知】【嗅覚感知】一個手前の部屋にも誰かいる。
まぁ、目的に支障は無いと思うので、その部屋を素通りし、部屋に入る。
(ああ、これはどうしよう…。奥様が一緒に寝ていらっしゃる。これじゃ、首を斬り飛ばせない)
この可能性を考慮していなかった。どう対応するか一瞬悩むも、俺がやっていることはただの殺しだ。それなら、1人や2人増えてしまっても仕方ない。
恨むなら、犯罪に手を染めた旦那様を恨んでくれ。
『スキル【作法】Lv.3を獲得しました』
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
『
コンコン
「ワルド・マーゴット子爵様。入ってもよろしいでしょうか?」
なんで急にこのタイミングで入室の許可を求めてくるんだ。俺の運が悪いのか?
しかし、冷静なって考えてみると感知系スキルなどで反応が拾えなくなったことで慌ててやってきたのだろう。
「入ります!な、何ーーー」
「全く大声を出さないでくださいよ」
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
扉のすぐ前で入ってきた瞬間を狙った。ここで大声を上げられたら、使用人の方達が来るかもしれない。
斬れ具合からそこまで強くはなかったんだろう。貴族が抱える食客といっても、子爵程度ではそこまでの強者を雇うことはできないのかもしれない。
この用心棒の死体もベッドの横に置き、犯罪組織の証拠を添えて、金を回収した。
最後はハンニバル・バルク伯爵邸だ。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
ここは注意が必要だ。どの程度の食客を抱えているのか。警戒しながら、扉を開けて中に入る。
中はワルド・マーゴット子爵邸と似たようなものだが、【鑑定】で分かる物品の価値はこちらのほうが高い。これが権力の差なのだろう。
ハンニバル・バルク伯爵の反応は2階の奥の部屋で捉えた。今までの傾向から、家主が2階の一番奥の部屋を寝室にするのだろう。
早速、向かおうとすると、手前の部屋の扉が開き、一人の男が出てくる。
目と目が合う。
【鑑定】と【心眼】でステータスを確認する。
【ステータス】
・名前 ヴァング
・年齢 28歳
・種族 人族
・称号 [Bランク・上級冒険者]
・Lv.58
・魔力 295
・筋力 122
・頑丈 122
・敏捷 126
・知力 124
・精神 124
・器用 126
・幸運 122
【職業】
・【闘士】→【高位闘士】
・【魔術師】
・【狩人】→【高位狩人】
・【拳闘士】
・【蹴闘士】
・【隠者】→【高位隠者】
・【軽戦士】
・【剣士】→【高位剣士】
・【農夫】
・【槍士】→【高位槍士】
【魔法】
・【火魔法】Lv.5
・【水魔法】Lv.5
・【土魔法】Lv.4
・【風魔法】Lv.4
【武器・武術系統】
・【闘術】Lv.6
・【体術】Lv.6
・【短剣術】Lv.5
・【剣術】Lv.5
・【槍術】Lv.5
【戦闘・戦術系統】
・【奇襲】Lv.5
・【殺気】Lv.5
・【抜き足】Lv.5
・【差し足】Lv.5
・【忍び足】Lv.5
・【魔纏闘鎧】Lv.6
・【怪力】Lv.5
・【城壁】Lv.5
・【疾風】Lv.6
・【明晰】Lv.5
・【不屈】Lv.5
・【正確】Lv.6
・【威圧】Lv.6
・【身体強化】Lv.5
・【練気強身】Lv.5
・【挑発】Lv.5
・【捨て身】Lv.6
【回復・耐性系統】
・【睡眠耐性】Lv.5
・【空腹耐性】Lv.5
・【殴打耐性】Lv.5
・【斬撃耐性】Lv.5
・【酩酊耐性】Lv.5
・【刺突耐性】Lv.5
・【火属性耐性】Lv.6
・【水属性耐性】Lv.6
・【土属性耐性】Lv.5
・【風属性耐性】Lv.5
【生産・製作系統】
・【採取】Lv.6
・【狩猟】Lv.6
・【解体】Lv.6
・【運搬】Lv.6
・【農耕】Lv.5
・【罠作成】Lv.5
・【釣術】Lv.5
・【伐採】Lv.5
・【採掘】Lv.5
【感覚・補助系統】
・【魔力感知】Lv.6
・【魔力操作】Lv.6
・【跳躍】Lv.6
・【集中】Lv.5
・【気配感知】Lv.6
・【俊足】Lv.6
・【隠蔽】Lv.5
・【鑑定】Lv.5
・【心眼】Lv.5
・【夜目】Lv.6
・【潜伏】Lv.6
・【罠感知】Lv.5
・【罠解除】Lv.5
・【逃走】Lv.5
・【連携】Lv.6
・【魔力回復量増加】Lv.5
・【魔力回復速度増加】Lv.5
・【遠視】Lv.5
・【捜索】Lv.5
・【拡声】Lv.5
・【算術】Lv.5
・【暗記】Lv.5
・【追跡】Lv.6
・【交渉】Lv.5
【武技】
[闘]
・【剛拳】Lv.5
・【剛蹴】Lv.5
[剣]
・【重斬】Lv.5
[盾]
[弓]
[槍]
・【刺突】Lv.5
[斧]
[槌]
[銃]
[刀]
実力はBランク相当。上級冒険者相当の実力者ということになるが…。
「瞬時に、背後を取れ、
きっと、男は驚いたろう。短剣を構えた少年がいきなり消え、視界が逆さまになったのだから。
『スキル【土属性耐性】Lv.5を獲得しました』
『スキル【風属性耐性】Lv.5を獲得しました』
『
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
『
その後、伯爵夫妻を殺した。
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
用心棒のヴァングをベッドの横に置き、犯罪組織と繋がる証拠を添えて部屋を後にする。
「ふぅ…金も回収したし、これでやるべきことは終えた。今日中に終わらせなければ、暗殺がバレて警備が強化された可能性もあったからな」
一番懸念していたのが、警備の強化だ。終わらせるなら、夜中の短時間でと考えていた。まぁ、今回の暗殺が明るみになり、警備は強化されると思うが。
俺は伯爵邸から宿屋の自室に
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