第42話 3つ目の裏組織
「【魔纏闘鎧】【身体強化】【練気強身】」
これでこの部下達の攻撃は問題ないだろう。
「お前ら、やるぞ!」
「相手はたった一人だ!」
「畳みかけろ!」
怒声をあげながら2〜3人の男達が長剣や短剣を携え、向かってくる。
振り下ろさせる長剣の軌道を逸らすと同時に短剣を滑らせ首を斬り落とす。男達が左右から短剣を振り抜くが【魔纏闘鎧】に阻まれる。
「なっ!」
「刃が通らない!」
そのまま腕を斬り落とし、悲鳴を上げ蹲ったところで首を斬り落とす。
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
そして、後方から弓矢が放たれるが、これも【魔纏闘鎧】に阻まれる。
「くそ!どうなってんだ!」
「刃が通らないとなると、魔法だ!」
「魔法を放て!」
「穿て、火の弾丸、
「穿て、水の弾丸、
「穿て、岩の弾丸、
「斬り刻め、風の鎌鼬、
「穿て、氷の弾丸、
5つの魔法が飛来する。しかし、全て【魔纏闘鎧】で無効化される。
「ま、魔法も効いてない!」
「くそ!どうする!」
「どうすれば…」
男達はあたふたしたまま、必死に俺を仕留められないか考えているようだ。しかし、それを待つほど俺は優しくない。しかも、【氷魔法】を所持している者もいる。
その魔法を俺に寄越せ。
「穿て、雷霆の一撃、
『
『
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
「くっ!何もしないと一方的にこっちがやられる!」
「くそ!特攻するしかねぇ!」
「行くぞ!お前…ら?」
「あいつ、武器を納めたぞ」
俺は短剣を納め、【魔纏闘鎧】【身体強化】【練気強身】を解除し、拳を構える。しかし、2階にいる男達への警戒は怠らない。
「こちらは無手で魔法も使わない。これだけでもお前らを倒すには十分だ」
「な、舐めやがって!」
「ぶっ殺してやらぁ!」
『スキル【挑発】Lv.1を習得しました』
武器を携えた男達が走って向かってくるのに合わせて、俺も駆け出す。
「【剛拳】」
「ぶはぁ!」
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
「【剛蹴】」
「ぐはぁ!」
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
武器と魔法は使わないと言ったが、スキルを使わないとは言っていない。多対一の格闘戦を想定した修練にはちょうどいい。
振り抜かれる長剣を上体を逸らして躱し、相手の顎に目掛けて蹴りを放つ。
「ごふ!」
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
真横から突き刺すように迫る短剣をしゃがんで躱し、鳩尾に拳を捻じ込む。
「ぐふ!」
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
背後から俺の背中を突き貫こうと放たれる槍を半身になって躱し、槍を引っ張りながら相手の後頭部を捉え、地面に叩きつける。
「ゴツ!」
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
一方的に倒されることにより、男達の表情がどんどん恐怖に染まる。
「どうした?かかってこないのか?」
「………」
きっと、葛藤しているのだろう。ボスと俺どちらにつくべきか。なら、伝えてやるか。
「俺はお前達を必ず殺す」
「な!?依頼には捕縛も含まれているんじゃないのか!?」
「捕縛は俺にとって得がない。お前達を殺して得られるもののほうが遥かに良い」
「くそ!」
こいつらに選択肢があるとすれば、俺に殺されるか、ボスに殺されるかだろう。
「さて、どちらかが倒れるまでやり合おう」
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
『スキル【鍛治】Lv.2を獲得しました』
『スキル【縫製】Lv.2を獲得しました』
『スキル【細工】Lv.2を獲得しました』
『スキル【加工】Lv.2を獲得しました』
『スキル【舞踏】Lv.2を獲得しました』
『スキル【歌唱】Lv.2を獲得しました』
『スキル【算術】Lv.2を獲得しました』
『スキル【暗記】Lv.2を獲得しました』
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
『
『
『
『
『
流石に人数が多いから得られた【職業】【魔法】【スキル】が多かったな。
「次はお前らの番だ」
「まさか本当にこの人数を倒すとはな。しかし、俺達を倒すことはできないぞ」
「そうかな?「瞬時に、背後を取れ、
ボスの背後に瞬時に
カキン!
「やっぱりか」
ボスに短剣を弾かれたわけではなく、側近の男によって防がれた。
「だから、無理だと言ったろう。お前が【空間魔法】を所持ているのは分かっていたからな。しかし、恐ろしいな【空間魔法】は本当に一瞬だ」
一旦、距離を取り、短剣を構える。ボスは戦斧を側近の男は短剣を構える。ここからは本気だ。
「【魔纏闘鎧】【身体強化】【練気強身】」
これで準備は良い。
「【威嚇】【殺気】【威圧】」
「ぬぉぉぉぉ…」
ボスが怯んだ隙に距離を詰め、短剣を首目掛けて振るう。側近の男がすぐに短剣で弾き、右足で蹴りを放ってくる。
(靴先から刃が出ている。【暗器術】を所持しているな)
蹴りを上体を逸らして躱す。ボスが戦斧を俺に向けて振り下ろす。短剣をクロスさせて受け止める。
側近の男が身動きの取れない俺の首に短剣を振るってくる。
「瞬時に、背後を取れ、
ボスの背後に
「突き貫け、雷の短槍、
ボスは戦斧で咄嗟に防御する。威力を殺しきれず後退する。側近の男は俺にナイフを投擲してくる。
それを躱し、詠唱する。
「瞬時に、目の前へ、
きっと、俺の姿が消えたからだろう。ボスも側近の男も背後を見ていた。
「ボス!」
俺は無防備に背中を晒すボスの首を斬り落とす。別に
『スキル【拡声】Lv.6を獲得しました』
『スキル【捨て身】Lv.6を獲得しました』
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
「これでやっと貴方に集中できる」
「そう簡単に倒せると思いますか?」
「【鑑定】や【心眼】が通らないのでスキルは不明ですが、ステータスは僕の方が上みたいですし、勝機はあると思います」
「くっ…」
苦虫を噛み潰したよう声を上げた思ったら、一瞬で間合いを詰めて短剣を振るってきた。クイーン・アントを討伐する前であれば、もしかしたら苦戦したかもしれない。
しかし、ステータスは俺のほうが上なので戦闘は終始俺が優位に進んでいく。
「僕の短剣はワイバーン製なのに、これだけ斬り合っても折れないなんて良い武器ですね」
「………」
徐々に側近の男に斬り傷が増えてきた。あまり、防御力は高くなさそうだ。秀でているのは敏捷値と器用値かな。
「瞬時に、背後を取れ、
さぁ、どうする?
「ははは!流石ですね。間に合わせましたか」
目の前か背後か迷い、背後の攻撃になんとか間に合わせた。しかし、体勢は不十分。側近の男の顎を蹴り上げる。
顎の骨は折れ、意識が飛びそうになりながらも体勢を立て直すのは流石だが、もう背後に
『スキル【拷問】Lv.6を獲得しました』
『スキル【誘拐】Lv.6を獲得しました』
『スキル【追跡】Lv.6を獲得しました』
『スキル【偽装】Lv.6を獲得しました』
『既得のスキルは熟練度に加算されました』
『
「ふぅ…さて、死体を回収するか」
ボスや側近の男、部下達を全員回収し、食糧や酒などの物品、貴金属などの金品を回収する。
「暗殺依頼や麻薬売買、人身売買と手広くやっているな。そして、依頼者はアイザック商会、ハンニバル・バルク伯爵か。こいつらも潰すことになりそうだ。あとは、1,000,000,00エルケー。随分と溜め込んでいたな」
依頼主も大きい商会と上級貴族だから報酬が良いのかもしれない。
一応、1階にあった牢屋には人はおらず、まだ攫っていないのか、それとも既に売り払われてしまったのか。
拠点から根こそぎ奪い、スラム街を後にし、宿屋の自室に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます