第26話 装備更新
「おはようございます」
「おう!坊主か。今回は購入と売却どっちだ?」
「売却ですね。それと、装備の補修もお願いしたいです」
「分かった。先に補修を済ませよう。…パッと見じゃ、補修は必要そうに見えないが?」
「いえ、背中の部分に風穴が空いています」
俺は革鎧を外し、オーク・キングの魔法で貫かれた部分を見せる。
「確かに、穴が空いているな。魔物にやられたのか?」
「ええ、オーク・キングの【大地魔法】を受けて、こうなりました」
「オーク・キングだと!?Aランクの魔物じゃねぇか!よく無事だったな」
「なんとか勝てました。それで、補修の件ですが…」
「あ、ああ。この程度なら、補修は問題ない。ただ、坊主はランクに見合った武器や防具を装備したほうが良いと思うぞ」
「そうですね…どんな装備が良いですかね?」
「坊主はしっかりとした実力があるから、うちのお勧めを見せてやる!」
そう言うと、店主は奥の部屋に行き、武器と防具を持ってきた。
「これは?」
「ワイバーンの素材で製作した革鎧、籠手、靴、短剣だ」
「ワイバーン…竜…」
「そうだ!竜種の亜種であるAランク上位の魔物だ。数年前、この街に突然現れてな。結構被害も出たんだが、なんとか討伐できたんだ」
「なるほど。それで、素材を入手して製作されたと。革鎧は胸部までカバーされてるから、胸当ては不要ですね。いくらになりますか?」
「そうだな…一式で1,000,000エルケー。払えるか?」
緊急依頼の報酬全額か。装備をケチって死んだら、元も子もないしな。
「払います」
「ははは!そうか!よし、調整してやるから、今の装備は外せ!」
革鎧、胸当て、籠手、靴、短剣などの装備を外す。おじさんが俺の側にやってきて、新しい装備の調整をする。
「よし!どうだ?」
「全く違和感を感じません。革鎧も籠手も靴も軽量かつ強靭。短剣も鈍い光沢が不気味で、どんなものでも斬れそうな感じです」
「そうだろう!防具はワイバーンの竜皮を鞣して製作したものだ。軽量で動作を阻害することなく、その強靭性は大抵の武器では傷一つつけることすらできない。武器はワイバーンの牙や鉤爪を加工して製作したものだ。これも軽量だが、Aランク以下の魔物の体皮を容易く斬れるし、貫ける。正直、俺が作れる武具の最高傑作だ」
「それはとても貴重なものを頂けて、とても嬉しいです。しかし、Sランクの武具は作れないのですか?」
「それは
「分かりました。これが代金です」
「おう!丁度だな。それで、売却のほうは?」
「長剣10本、短剣5本、盾5個、斧11本、戦斧1本、杖3本、弓1挺。オークの集落を殲滅した時の戦利品です」
「刃がある武器は全部鉄製、杖も弓も一般的なものだな。それに、魔物が使っているせいで、品質や状態が良くない」
「買い取りは無理ですか?」
「いや、別に状態が悪いだけで買い取りはできるぞ。全部で50,000エルケーだな。今回は処分するものはないのか?」
「あります。この沢山ある革鎧とローブです」
「ローブは…この状態じゃ、他の店に持っていってもダメだな。処分費として10,000エルケー貰うぜ」
「お願いします」
武具屋を後にして、露店で肉串と果実水を買って昼食を摂る。
「収納空間も懐も寂しくなったな」
それでも、まだ300,000エルケー以上はあるから、生活には困らないが、この後、服と
「いらっしゃいませ!」
「
「全部で20,000エルケーだよ」
「確認お願いします」
「うん、丁度だね。毎度あり!」
次は服飾店に向かう。
「いらっしゃいませ!あれ?あんた、前のボロボロの少年じゃないか?」
「あの時はお世話になりました」
「随分と見違えたじゃないか!上手くいってるようだね。今日は何を買うんだい?」
「この服と同じのを2着、下着を1着、寝巻きを1着お願いします」
「あいよ!背も伸びてきたようだし、大きめの服にしとくよ」
「ありがとうございます」
必需品や日用品の購入を済ませ、冒険者ギルドに向かう。
「護衛依頼はあるかなっと」
依頼書版を見ると、1つだけ護衛依頼があった。行き先はここから北にある[バンテン王国]の[マイソール]という街。出発は明日早朝、北門前に集合。
そういえば、2日前に馬車を盗賊から助けた時にお礼をしたいと言われていたな。一週間後にこの街に戻ってくるって言ってたし、待ってたほうが良いか。
あと5日間、森の魔物を殲滅する勢いで狩って、生活費でも貯めておこう。次の街でどんな買い物をするか分からないしな。
依頼の確認を済ませて、宿屋に戻る。今日は時間が中途半端なので狩りはしない。そして、自室で装備を確認する。
【武器】
・名称 ワイバーンの竜牙剣
・等級 Aランク
【防具①】
・名称 ワイバーンの竜革鎧
・等級 Aランク
【防具②】
・名称 ワイバーンの竜皮籠手
・等級 Aランク
【防具③】
・名称 ワイバーンの竜皮靴
・等級 Aランク
つい先程までは一般的な武具だったが、一気にグレードアップした。【鑑定】のレベルが低いから、まだ名称と等級しか分からない。
俺は武具の確認を終えると、夕食を食べに食堂に向かった。
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