第24話 集落の殲滅

 「ブギィ…」


 これで10体目。オークの集落を目指して、森の奥に進む。奥に進むにつれてオークとの遭遇エンカウントが多いような気がする。


 そもそも、森の浅い場所で被害が続出しているということは、オークの集落はそこまで深い場所に形成されていないということ。


 「ブギィ…」


 これで20体目。そろそろか。多くの気配を捉え、気配の方向に進むにつれて、物音が聞こえてくる。


 近くの木の陰に身を潜め、様子を伺う。しかし、柵の高さがオークと同じくらいなので、中の様子が分からない。


 入り口にオークが2体見張りとして立っている。これは奇襲はあまり効果がないか。1体を倒せても、もう1体が鳴き声をあげれば、集落にいる奴らにもバレる。


 (仕方ないか…)


 改めて、装備を確認し、見張りのオークに向かって駆け出す。


 「ブギィ!」


 「ブモォ!」


 丸太のような太い腕から拳が繰り出される。俺も【剛拳】で合わせる。拳を粉砕され、絶叫を上げるオーク。そして、もう一体のオークが極太の棍棒を横薙ぎに振るってくる。


 「一瞬で、背後を取れ、空間転移テレポート


 棍棒の攻撃に合わせて、背後に空間転移テレポートし、短剣で首を串刺しにする。首を掻くように倒れる。拳を粉砕されたオークは拳を押さえながら、集落の中に逃げようとしていたので、雷槍ライトニング・スピアで頭部を貫く。


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 雷槍ライトニング・スピアで貫かれたオークは入り口の少し入ったところで絶命したので、その死体を回収しに行くと、集落内のオーク達が俺に気付き、襲いかかってくる。


 「蹴散らせ、迅雷の大波、津波襲雷ライトニング・ウェイヴ


 津波のように無数の迅雷ライトニングがオーク達を襲う。


 「ブ、ブギィ…」


 「ブ、ブモォ…」


 20体近くのオーク達が絶命したことで、後方で控えていた上位種が斧を手に、オーク達に混ざって襲いかかってくる。


【ステータス】

 ・名称 ハイオーク

 ・種族 豚人族


 ・称号 


 ・Lv.32


 ・魔力 163


 ・筋力 74

 ・頑丈 74

 ・敏捷 70

 ・知力 74

 ・精神 74

 ・器用 74

 ・幸運 70


【武器・武術系統スキル】

 ・【闘術】Lv.3


【戦闘・戦術系統スキル】

 ・【突撃】Lv.3

 ・【威嚇】Lv.2

 ・【剛拳】Lv.3

 ・【堅守】Lv.3


【回復・耐性系統スキル】

 ・【殴打耐性】Lv.2

 ・【斬撃耐性】Lv.2


【生産・製作系統スキル】

 ・【繁殖】Lv.3

 ・【狩猟】Lv.3

 ・【解体】Lv.3

 ・【運搬】Lv.3

 ・【建築】Lv.3


【補助系スキル】

 ・【休眠】Lv.2

 ・【環境適応】Lv.1

 ・【精力絶倫】Lv.3


 ハイオークはゴブリンに例えると、ホブゴブリンの立ち位置なのだが、強さはゴブリン・ジェネラル相当。


【ステータス】

 ・名称 オーク・アクサー

 ・種族 豚人族


 ・称号 


 ・Lv.41


 ・魔力 208


 ・筋力 92

 ・頑丈 92

 ・敏捷 88

 ・知力 92

 ・精神 92

 ・器用 92

 ・幸運 88


【魔法】

 ・【大地魔法】Lv.2


【武器・武術系統スキル】

 ・【斧術】Lv.3


【戦闘・戦術系統スキル】

 ・【威嚇】Lv.3


【回復・耐性系統スキル】

 ・【殴打耐性】Lv.3

 ・【斬撃耐性】Lv.3


【補助系スキル】

 ・【休眠】Lv.3

 ・【環境適応】Lv.2


 オーク・アクサーはゴブリン・キング相当。ただし、スキルはあまり視れない。これは、倒し甲斐がある。でも、時間はかけていられない。


 「蹴散らせ、迅雷の大波、津波襲雷ライトニング・ウェイヴ

 「突き貫け、雷霆の短槍、雷槍ライトニング・スピア

 「突き貫け、火炎の短槍、火槍ファイア・スピア


 「ブギィ…ギィ…」


 「ブモォ…ォ…」


 『レベルが52に上昇しました』


 『レベルが53に上昇しました』


 『レベルが54に上昇しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 とりあえず、格下共を一掃し、残りの2体を見据える。一体はオーク・アクサーと姿形は変わらないが、纏う気配は強そうだ。


【ステータス】

 ・名称 オーク・ジェネラル

 ・種族 豚人族


 ・称号 


 ・Lv.53


 ・魔力 268


 ・筋力 116

 ・頑丈 116

 ・敏捷 112

 ・知力 116

 ・精神 116

 ・器用 116

 ・幸運 112


【魔法】

 ・【大地魔法】Lv.3


【戦闘・戦術系統スキル】

 ・【威嚇】Lv.3

 ・【統率】Lv.3


【補助系スキル】

 ・【環境適応】Lv.3


 そして、オーク・ジェネラルより一回り大きく、王者の気配を纏い、いくつもの命を奪い、血を吸ってきた戦斧を携えている。


【ステータス】

 ・名称 オーク・キング

 ・種族 豚人族


 ・称号 豚人の王


 ・Lv.65


 ・魔力 328


 ・筋力 140

 ・頑丈 140

 ・敏捷 136

 ・知力 140

 ・精神 140

 ・器用 140

 ・幸運 136


 ははは!全くスキルが視れない。同格以上の相手を同時に相手しないといけないのは、一般的には命を諦めるような状況だろう。一緒に戦ってくれる仲間がいるわけでもない。


 しかし、手札の多さなら負けない。何がなんでもお前らを狩ってやる!


 「突き貫け、雷霆の短槍、雷槍ライトニング・スピア


 オーク・キングに向かって雷槍ライトニング・スピア投擲する。


 「一瞬で、背後を取れ、空間転移テレポート


 オーク・ジェネラルの背後に空間転移テレポートし、頸部と左目に短剣を突き刺す。


 「グモォオオオ!」


 俺を振り解こうと暴れるので、すぐに距離を取る。すると、オーク・キングが岩弾ロック・バレットを放ってきたので、同じく岩弾ロック・バレットで相殺しようとしたが、砕けたのは俺の方で、威力と飛距離を減衰させただけだった。


 オーク・キングが魔法を唱える。すると、俺は背中に痛みを感じた。


 「グッ!」


 俺の背中を何かが貫いている。貫通まではしてないのが幸いだ。無理矢理、背中を動かし、大きく後方に跳躍する。


 前方には大地が長槍のように隆起し、先端に俺の血が付着している。【魔纏闘鎧】を貫いてくるとは…。


 痛みを我慢すれば、戦闘行動に支障はない。


 「一瞬で、背後を取れ、空間転移テレポート


 オーク・キングの背後に空間転移テレポートし、攻撃を仕掛けようとするも、側面から戦斧が迫っている。


 「チ!」


 咄嗟に短剣で防御するが、吹き飛ばれる。空中で体勢を立て直し、着地する。そして、その場をすぐ移動すると、案の定、大地の長槍が隆起していた。


 (…危なかった。一箇所に留まり続けるのは避けた方が良いな)


 「突き貫け、火炎の短槍、火槍ファイア・スピア

 「一瞬で、背後を取れ、空間転移テレポート


 オーク・キングば火槍ファイア・スピアを戦斧で防御し、俺の姿が消えていることを確認し、背後に向かって戦斧を振るう。


 しかし、戦斧は空を切るのみ。俺はオーク・キングではなく、左目を押さえ、息も絶え絶えなオーク・ジェネラルの背後に転移したのだから。


 再度、オーク・ジェネラルの頸部と右目を突き刺し、ハッと驚いているオーク・キングに通常より魔力を込めた雷槍ライトニング・スピアを撃ち込む。


 「グモォオオオ!」


 オーク・キングは痛みにより、仰け反る。ステータスの差によって貫通はしてないだろうが、少しは刺さっただろう。


 「斬り刻め、風の鎌鼬、風鎌ウィンド・カッター

 「貫け、雷霆の一撃、迅雷ライトニング


 「グモォオオオ!」


 風鎌ウィンド・カッターで首を切り裂き、その裂傷部分に迅雷ライトニングを当ててやった。


 『レベルが55に上昇しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 オーク・ジェネラルが絶命し、あとはオーク・キングのみだ!ここで畳み掛ける!


 首を押さえているオーク・キングに向かって雷槍ライトニング・スピア火槍ファイア・スピアを放つ。


 それらが戦斧で防御されるのを見越して、発動しながら駆け出しており、オーク・キングは戦斧で俺を一刀両断するように振り下ろしてきた。


 オーク・キングの一撃を躱し、その極太の腕を駆け上がりながら、迅雷ライトニング岩弾ロック・バレットを放つ。


 オーク・キングは魔法攻撃を腕で防御し、その隙に裂傷している首を深く斬り裂く。そして、もう一つの短剣で傷口部分を突き刺し、【剛拳】で深く刺しこむ。


 「グ、グモォオオオ!」


 突き出した拳から迅雷ライトニングを放ち、短剣を伝ってオーク・キングに直撃する。そろそろ、魔力量も怪しくなってきている。そろそろ、倒れてくれないか。


 オーク・キングから一旦距離を取り、迅雷ライトニング風鎌ウインド・カッターを放ちながら駆ける。


 その魔法攻撃はオーク・キングに直撃する。オーク・キングは下を向いたまま動かない。しかし、俺は油断しない。【強奪】が発動したいのだから、死んではいないのだ。


 間合いを詰めると、オーク・キングが咆哮しながら、戦斧を横薙ぎにする。それを跳躍して躱し、さらに間合いを詰める。


 オーク・キングは戦斧を手放し、その剛腕で俺を仕留めに来た。


 「一瞬で、背後を取れ、空間転移テレポート


 今度こそ、隙だらけのオークキングの頸部に向かって短剣を突き刺す。一度で終わらず、二度、三度と抜き差しを繰り返す。さらに、首に刺さっていた短剣を引き抜き、滅多刺しにする。


 最後の一撃として、両目を貫いてやると、オーク・キングは膝から崩れ落ちた。


 『レベルが56に上昇しました』


 『レベルが57に上昇しました』


 『レベルが58に上昇しました』


 『レベルが59に上昇しました』


 『レベルが60に上昇しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 「ふぅ…流石に強かったな。これがAランクの魔物の強さか。現時点の自分の力量を知るいい機会になった」


 オーク達の死体を回収し、集落に建てらている納屋を確認する。資材や武器を保管する納屋、食料を保管する納屋、その他に居住のために作られた納屋を確認し、物資を回収する。


 最後の納屋を確認すると、そこには人骨とまだ死亡して間もない女性の死体があった。陵辱されたと一目で分かるその姿に目を背けたくなった。


 白骨化した死体は燃やして埋葬し、それ以外は【空間魔法】で収納した。冒険者ギルドに引き渡すためだ。死体の近くに冒険者証明書ライセンスもあったからだ。


 納屋や柵を解体し、再利用の防止をした後、冒険者ギルドに戻った。

 


 


 


 


 





 

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