第22話 便利

 接敵した魔物のみを討伐し、森の奥に歩を進める。森の奥に進むにつれて、上位種との遭遇が増えてくる。


 ゴブリンはホブゴブリンに、コボルトはコボルト・スカウトに変化する。うーん…できれば、新規の魔物と戦ってみたい。


 「ブーン、ブーン、ブーン」


 「なんだ?虫の羽音?」


 耳障りな音が徐々に近づいてくる。遭遇したのは体長1m50cmくらいの巨蜂だった。それに、10匹もいる。


【ステータス】

 ・名称 キラー・ホーネット

 ・種族 魔蜂族


 ・称号 


 ・Lv.22


 ・魔力 115


 ・筋力 50

 ・頑丈 52

 ・敏捷 54

 ・知力 52

 ・精神 50

 ・器用 52

 ・幸運 50


【戦闘・戦術系統スキル】

 ・【威嚇】Lv.2

 ・【刺突】Lv.2


【回復・耐性系統スキル】

 ・【猛毒耐性】Lv.1


【生産・製作系統スキル】

 ・【狩猟】Lv.2


【補助系スキル】

 ・【飛翔】Lv.2

 ・【巣作り】Lv.2

 ・【集団行動】Lv.1

 ・【毒液生成】Lv.1


 尻先に備わっている針先から毒液が地面に零れ落ちると、地面が毒煙を上げる。あの毒液に触れないように気をつけることは当たり前だが、連携にも気をつけないとな。


 「突き貫け、火炎の短槍、火槍ファイア・スピア

 「穿て、岩石の弾丸、岩弾ロック・バレット


 火槍ファイア・バレット岩弾ロック・バレットがキラー・ホーネット達の身体を容易に貫く。俺の攻撃を危険と判断し、【刺突】による特攻を仕掛けてくる。


 それら半身になって躱し、すれ違いざまに蜂の身体を一刀両断する。


 『スキル【刺突】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【猛毒耐性】Lv.1を獲得しました』


 『スキル【飛翔】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【巣作り】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【集団行動】Lv.1を獲得しました』


 『スキル【毒液生成】Lv.1を獲得しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 キラー・ホーネットの死体を回収しながら、ステータスを確認する。すると、【毒液生成】は【使用不可】のスキル一覧に表記されていた。


 とても残念だ。短剣に毒液を塗布すれば、相手を毒殺もしくは状態異常にできると思ったのだが、そう上手くはいかないらしい。


 俺はこのキラー・ホーネットのように毒を生成する器官を身体に有していない。魔物由来のスキルを獲得しても使用できないものもあることが知れて、一つ勉強になったな。


 キラー・ホーネット達が飛んできた方向に進むと、木々の間に巨大な蜂の巣が佇んでいた。高さも幅もあり、周囲にはキラー・ホーネットが周囲を警戒するように飛んでいる。


 「前世ではカブトムシやクワガタムシは好きだったけど、それ以外は苦手だったんだよな」


 目の前の光景に驚くあまり、前世を思い出し、独り言ちる。


 「突き貫け、雷霆の短槍、雷槍ライトニング・スピア

 「斬り刻め、風の鎌鼬、風鎌ウィンド・カッター


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 警備のキラー・ホーネットを倒すと、巣の中から体長3mはある超巨大な蜂が出てきた。


【ステータス】

 ・名称 クイーン・ホーネット

 ・種族 魔蜂族


 ・称号 魔蜂の女王


 ・Lv.34


 ・魔力 175


 ・筋力 74

 ・頑丈 76

 ・敏捷 78

 ・知力 76

 ・精神 74

 ・器用 76

 ・幸運 74


【戦闘・戦術系統スキル】

 ・【指揮】Lv.2

 ・【威嚇】Lv.3

 ・【刺突】Lv.3


【回復・耐性系統スキル】

 ・【猛毒耐性】Lv.2


【生産・製作系統スキル】

 ・【狩猟】Lv.3


【補助系スキル】

 ・【飛翔】Lv.3

 ・【巣作り】Lv.3

 ・【集団行動】Lv.2

 ・【毒液生成】Lv.2


 盗賊達を倒したことにより、【鑑定】と【心眼】がレベル3にレベルアップした。これで、レベル3以下のスキルは視ることができる。


 「突き貫け、雷霆の短槍、雷槍ライトニング・スピア

 「突き貫け、火炎の短槍、火槍ファイア・スピア


 2種類の魔法槍撃を受け、翅が穴だらけになり、撃墜されるクイーン・ホーネット。すかさず、トドメを刺すべく、駆け出し、クイーン・ホーネットの両目を短剣で貫く。


 『レベルが51に上昇しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 お!レベルが上がった。でも、たったの1レベル。まずはレベル100を目指しているので、先は遠い。


 巨大な蜂の巣を収納していると、複数の気配が近づいてくる。


 「カサカサ、カサカサ、カサカサ」


 現れたのは、体高50cm、体調はキラー・ホーネットと同じくらいの蜘蛛の集団だった。


【ステータス】

 ・名称 ハント・スパイダー

 ・種族 魔蜘蛛族


 ・称号 


 ・Lv.25


 ・魔力 128


 ・筋力 58

 ・頑丈 56

 ・敏捷 60

 ・知力 56

 ・精神 56

 ・器用 60

 ・幸運 58


【戦闘・戦術系統スキル】

 ・【威嚇】Lv.2

 ・【粘液噴射】Lv.2


【回復・耐性系統スキル】

 ・【猛毒耐性】Lv.1


【生産・製作系統スキル】

 ・【狩猟】Lv.2

 ・【罠作成】Lv.1


【補助系スキル】

 ・【巣作り】Lv.2

 ・【毒液生成】Lv.1

 ・【捕獲】Lv.2

 ・【捕食】Lv.2


 ハント・スパイダーが一斉に【粘液噴射】で攻撃してくる。


 「一瞬で、背後を取れ、空間転移テレポート


 避けきれないと判断し、空間転移テレポートでハント・スパイダーの背後を取る。


 「ギシャ…」


 『スキル【粘液噴射】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【捕獲】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【捕食】Lv.2を獲得しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 残りのハント・スパイダーがその鋏角で俺を捕まえようと飛びかかって来た。


 「囲い遮れ、遮断の防壁、火壁ファイア・ウォール


 ハント・スパイダー達は俺の火壁ファイア・ウォールに身を焼かれて、絶命した。


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 「【火炎魔法】は素材がダメになるからな。判断ミスったかな。【雷電魔法】の方が良かったかも」


 ハント・スパイダーの死体を回収して、やってきた方向に進んだ。見えてきたのは巨大な蜘蛛の巣。その中心部にハント・スパイダーより大きい蜘蛛がいた。


【ステータス】

 ・名称 ジャイアント・スパイダー

 ・種族 魔蜘蛛族


 ・称号 魔蜘蛛の王


 ・Lv.36


 ・魔力 183


 ・筋力 80

 ・頑丈 78

 ・敏捷 82

 ・知力 78

 ・精神 78

 ・器用 82

 ・幸運 80


【戦闘・戦術系統スキル】

 ・【指揮】Lv.3

 ・【威嚇】Lv.3

 ・【粘液噴射】Lv.3


【回復・耐性系統スキル】

 ・【猛毒耐性】Lv.3


【生産・製作系統スキル】

 ・【狩猟】Lv.3

 ・【罠作成】Lv.2


【補助系スキル】

 ・【巣作り】Lv.3

 ・【毒液生成】Lv.2

 ・【捕獲】Lv.3

 ・【捕食】Lv.3


 ジャイアント・スパイダー1匹、ハント・スパイダー3匹。


 「突き貫け、雷霆の短槍、雷槍ライトニング・スピア

 「穿て、岩石の弾丸、岩弾ロック・バレット


 「ギ…ギシャ…』


 ジャイアント・スパイダーとハント・スパイダー1匹が絶命し、残りのハント・スパイダーを【粘液噴射】に注意しながら、短剣で仕留める。


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 ジャイアント・スパイダーとハント・スパイダー5匹の死体、巨大な蜘蛛の巣を回収し、冒険者ギルドに戻った。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 「ははは…たまげたな。蜂の巣をそのまま持ってくるとは…」


 「こういうとき、【空間魔法】は便利ですね」


 「…今日の成果はホーン・ラビット5匹、カモフラ・スネーク5匹、ゴブリン10匹、キラー・ホーネット15匹、クイーン・ホーネット1匹、ハント・スパイダー15匹、ジャイアント・スパイダー1匹。それに、蜂の巣と蜘蛛の巣か。蜂の幼虫を始末しているのも流石だな」


 「今日は少し森の奥で活動したので、明日はもっと奥にいく予定です」


 「期待しているぜ!お前のおかげで市場が潤い、市民や冒険者の生活の助けにもなる。できれば、薬草の方もお願いしたいところだ」


 「薬草採取はすっかり頭から抜けていました。明日からは薬草採取も忘れずにやります」


 「ああ!頼むぜ!」


 おじさんから羊皮紙を受け取り、受付に並ぶ。


 「確認お願いします」


 「確認いたします。…あ、明日も頑張って下さい!………まだ少年だけど、唾をつけておいた方がいいかしら」


 「あの、何か言いました?」


 「ううん!何でもないわ!はい、今日の報酬よ!」


 300,000エルケーを受け取り、冒険者ギルドを後にした。

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