第14話 街!発見!

 「最後はお前だけだぜ。コボルトの王よ」


 森を西に向けて移動し、森での生活にも慣れた頃、コボルトの集落に出会した。規模はゴブリンの集落と同程度で約100匹。


 『レベルが47に上昇しました』


 『レベルが48に上昇しました』


 『スキル【夜目】Lv.1を獲得しました』


 『スキル【潜伏】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【罠感知】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【罠作成】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【罠解除】Lv.2を獲得しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 コボルト・キング以外は【雷電魔法】で数を減らし、一部の上位種を長剣で頸部を斬り落としたり、心臓を貫いて殺した。


【ステータス】

 ・名称 コボルト・キング

 ・種族 小狼族


 ・称号 小狼の王


 ・Lv.43


 ・魔力 220


 ・筋力 92

 ・頑丈 92

 ・敏捷 96

 ・知力 96

 ・精神 92

 ・器用 96

 ・幸運 94


【魔法】

 ・【風嵐魔法】Lv.2


【武器・戦闘系スキル】

 ・【奇襲】Lv.2

 ・【指揮】Lv.2

 ・【威圧】Lv.1

 ・【統率】Lv.1


【補助系スキル】

 ・【俊足】Lv.2

 ・【隠蔽】Lv.1


 ボロボロの短剣を携えて、その巨体に見合わない速さで距離を縮めてくる。


 「ガキン!」


 長剣の腹で防御する。コボルト・キングは短剣と蹴撃のコンボでこちらに反撃の隙を与えず、攻撃してくる。


 長剣だと小回しが効かないので、防戦一方になってしまう。一瞬でも相手の攻撃に隙を生み出せれば…。


 【威嚇】【殺気】【威圧】をコボルト・キングにぶつけた。


 「ギャウ…」


 怯んだ隙に、空間転移テレポートで背後に回り、長剣を突き刺す。


 「ギャ…ギャウ…」


 苦しそうな声を上げ、膝をつき、喉を掻きむしるように手を動かしている。


 『レベルが49に上昇しました』


 『レベルが50に上昇しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 「ふぅ…レベルが50に達したか。今の俺の強さはこの世界でどのくらいの位置なんだろう?」


 それを知るためにも、まずは街を目指さないと。そろそろに頭も痒くなってきたし、身体も返り血や汗でベトベト。臭いもキツくなってきた。


 コボルト達の死体を【解体】し、肉を焼いて食べる。


 (うん…悪くないな。ホーン・ラビットの肉には劣るけど)

 

 腹が満たされ、ユラユラと揺れる灯火に眠気が誘われ、瞼を閉じる。


 (【水波魔法】で火を消さなきゃ…)


♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 「…街があった。運が良かったな…」


 太陽が地上を照らしている間に森を抜けられた。体感的には昼頃だろうか。


 街道には馬車などは走っておらず、人通りはない。しかし、右側を向くと、少し先に高く聳え立つ城壁がある。


 城壁の前には人が列をなしているようで、きっと入市の手続きをしているのだろう。


 一気に張り詰めていた緊張が解けて、身体が軽くなったようで、軽い足取りで列に向かった。


 前に並ぶ人が咳払いをする。肩越しにこちらを鼻を摘みながら睨む。申し訳なくなり、肩を縮め、軽く頭を下げる。


 数十分後、俺の番がやってきた。問題なく街に入れますように。


 「少年、身分を証明するものはあるか?」


 「ありません」


 「この街に来た理由は?」


 「僕は[オスマン帝国]の領都[セルジューク]から来ました。突然、金属鎧の兵士達に街を襲撃され、ここまで逃げてきました」


 「[オスマン帝国]のセルジューク…。その街とこの街を繋ぐ街道はなかったはずだが?」


 「それは…森を抜けてきました」


 「も、森を抜けてきた!?一人でか?両親は?」


 「両親は…兵士に殺されました…。他の人達も…だから、ここまで逃げてきました」


 「そうか…。一人でこの街で生活していけるのか?」


 「なんとかします。戦闘は少し得意なので、冒険者にでもなろうかと」


 「分かった。ちなみに入市には100エルケー必要になるが?」


 「手持ちはないので、魔物の素材でどうにかなりませんか?」


 「うーん…俺達は冒険者ギルドの職員じゃないしな…」


 「コボルト・キングの死体があるんです。それをお渡しします。冒険者ギルドで換金してもらえれば…」


 「…本当にコボルト・キングの素材があるのか?」


 「はい。これです」


 【空間魔法】の収納空間からコボルト・キングの死体を出す。本当は【空間魔法】の存在は隠したかったが、背に腹は変えられない。


 「ほ、本物だ。君が狩ったのか?それに、今のはーーー」


 「【空間魔法】です。コボルト・キングは僕が狩りました」


 「よし、入っていいぞ。それほどの力があるなら、冒険者ギルドに登録して、冒険者証明書を発行してもらうんだな。それがあれば、入市料を払う必要がなくなるからな」


 「分かりました。あと、一つ聞きたいのですが、この街の名前はなんていうんですか?」


 「ここは中央小国家群の1つ、[イベリア王国]の[アヴァール]という。あまり大きな街ではないがな」


 「教えて頂き、ありがとうございます!」


 門兵にコボルト・キングの死体を渡し、大きな城門を潜る。俺はこの世界に転生して、初めての街の景観に感動するのだった。


 

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