第7話 上位種
「今日はこれでゴブリンは5匹目か…」
初めてゴブリンを倒し、恐怖を克服した日の翌日に、両親から狩猟採集を一人で行うようにと言われた。
自分自身も一人で仕事を熟せるか挑戦してみたかったので食い気味に頷いた。ただし、油断はしないようにと厳命されたので、両親は期待と不安があるようだ。
森の少し入ったところで[ヒール草]や[マナ草]などの薬草を採取し、ホーン・ラビットやカモフラ・スネーク、ゴブリンを安定的に狩れるようになっていた。
ゴブリンだけはたまに2体同時に相手取る時はあったが、油断せず1対1の状況を上手く作りながら倒すことができた。
もう一つ朗報がある。それは【空間魔法】が凄くチートだということだ。
何を当たり前のことを言っているんだとそう思われるかもしれない。しかし、改めてその性能の恩恵を受ける身としては黙っていられない。
【空間魔法】の判明した特徴
・容量は無制限
・時間経過が無く、収納物が劣化しない
様々な異世界モノの小説を読んできた身としてはこの世界の魔法体系を作った神様に感謝したくなる。
某作品ではレベルが収納容量に関係していたり、収納空間は時間経過があり、少しずつ収納物の状態が劣化するような設定があったので心配だったのだ。
おかげで採取した薬草や捕獲した魔物は籠に入らなくなったら【空間魔法】で無駄にせずに済んでいる。
(【空間魔法】が使えると伝えた時の両親の反応は面白かったな)
一人で狩猟採集をした日、いつもの場所に成果物を提出する前にテントに戻り、両親に無事に終えたことを報告した。
その時に【空間魔法】のことを伝えたが、両親は喜ぶと同時に注意もしてきた。
この世界で【空間魔法】は他の魔法に比べて習得難易度が段違いなのだそうだ。そのため、【空間魔法】を使える人材は貴重で、過去には所持者が人攫いにあったりしたらしい。
最低限の自衛ができるようになるまで【空間魔法】は秘匿するように言われた。そのとおりだなと思ったので、天気の悪い日で狩猟採集があまりできない日に収納空間に入れてある物を提出すれば良いと考えた。
適当な木の根元に籠を下ろして座る。ホーン・ラビットの肉を齧りながらステータスを確認する。
【ステータス】
・名前 アレス
・年齢 6
・種族 人族
・称号
・Lv.11
・魔力 60
・筋力 30
・頑丈 28
・敏捷 32
・知力 30
・精神 28
・器用 32
・幸運 30
【職業】
・【闘士】
・【魔術師】
・【狩人】
【魔法】
・【火炎魔法】Lv.2
・【水波魔法】Lv.2
・【空間魔法】Lv.10
【武器・戦闘系スキル】
・【闘術】Lv.2
・【体術】Lv.2
・【短剣術】Lv.2
【生産・製作系スキル】
・【採取】Lv.2
・【繁殖】Lv.2
・【狩猟】Lv.1
・【解体】Lv.1
・【運搬】Lv.1
【補助系スキル】
・【魔力感知】Lv.3
・【魔力操作】Lv.3
・【跳躍】Lv.1
・【突撃】Lv.1
・【熱源感知】Lv.1
・【集中】Lv.2
・【気配感知】Lv.1
少しは成長できたと思う。既得のスキルのスキルレベルが上がったり、新規の
(ゴブリンも安定的に倒せるようになったから、少し森の奥へ狩場を移すか)
休憩を終え、籠を持ち運びながら森の奥へ進む。目視でも注意を怠る気はないが、感知系スキルの方が万が一に備えられる。
(お!感知系スキルに一つの反応を捉えたぞ)
反応のする方向に慎重に進む。近くの木の陰から対象を確認すると1匹のゴブリン?がいた。
いや待て。どう見ても普通のゴブリンではない。身長は130〜140cmくらいはあるし、身体も痩せ細っていない。
ああ、対象の情報が分かるようなスキルが欲しいな。そんな無いものねだりをしても仕方ないか。
他に仲間がいる様子もないのでこのまま仕留めるとしよう。
「穿て、火の弾丸よ、
「グギャ」
ゴブリン?は前のめりに地面に倒れた。しかし、油断はしない。【強奪】によるお知らせがないからだ。
ナイフを持ち、素早くゴブリン?に駆け寄ると、頸部に向かってナイフを刺しこむ。ジタバタともがくゴブリン?の上に跨がり、ナイフを深く刺しこむ。
数秒後、ゴブリン?は動かなくなった。
『レベルが12に上昇しました』
新規スキルの獲得は無しか。
(あ!【繁殖】のレベルが上がっている!)
レベルが上がったのでステータスを確認すると、【繁殖】のレベルが2から3に上昇していた。
ゴブリン?の死体を収納し、今日は狩りを切り上げる。父さんに良い知らせができそうだ。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「す、凄いな!本当にホブゴブリンを倒すとは…」
「え、ええ!凄いわよアレス!」
成果物を提出し、テントに戻って両親にホブゴブリンの死体を見せる。やっぱり、ゴブリンの上位種で有名なホブゴブリンだったか。
「俺がアレスの歳の頃はホーン・ラビットを一人で倒すのに苦労したものだ」
「ホブゴブリンは新人を卒業した下級冒険者が狩るような魔物よ。この歳で倒せる方がおかしいわ」
「まぁ、不意をついた奇襲だったけどね」
「そんなことは関係ないさ。一人で倒せたことに意味がある。よくやったアレス!」
両親に頭を撫でられると誇らしい気持ちになった。まずはホブゴブリンを安定的に倒せるようになろうと目標を定めるのだった。
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