第2話~出会い(12年前)~

ものすごい大きな生き物がこっちを見ている。

隣の塀の方からは「こっち見て(キャン)」「出して(キャン)」「ご飯ちょうだい(キャン)」と言う声が、色んなところから沢山聞こえる。

うちは、あんな生き物に絶対おべっかや物乞いはしない。

今日もいろいろな生き物がアクリル板越しに、こっちを見ている。

身の毛もよだつ。

こっち見んなよう。噛みつくぞ。「うーう。」

牙が覗いていた。


また、違う生き物が2つこっちに向かって来た。

何者か分からないが、4つの目がうちをじっと見て話している。そうしていると、うちの世話をしている下僕(生き物)が、「抱っこして見ませんか?」とさっきやって来た2つの生き物に言い、アクリル板を開けて、うちを取り上げて、

2つの生き物の手の上に乗せた。「ちっちゃくて、かっわいいね。」「足短いんだね。そこもいいね。」

2つの生き物は「よし。飼おう。」「うん。」と言った後、向こうで下僕と話しをして帰って行った。

うちはホッとしていたが、外が暗くなった頃、なんと2つの生き物は戻って来て下僕とまた話をし始めた。下僕はニコニコしながら、うちを四角い小さな檻(ダンボール箱)の中に閉じ込め2つの生き物に渡した。

「きゃん~きゃきゃん~(何をするんじゃ。下僕、戻せ~)!」

実はうちはビビって震えていたんじゃ。

これがうちと二人との嫌な出会いだった。


それから、うちの新しい生活が始まり、犬生(人生)の中で最高に楽しかった時期だった。

新しい家では、生き物達はちゃんとうちのために働いてくれた。ただ気に入らないのはうちのことをたまに、檻の中に入れる。本当に失礼なことだ。


うちは二人の新たな生き物に名前をつけてやった。そやつの側に居るだけでホンワカとする、気に入りの生き物にはママちゃん。ママちゃんに頭の上がらない生き物にはパパちゃんと決めてやった。


毎日が愉しすぎ~。

ママちゃんを独り占め出来ることだ。

だけど、うちの了解もなしにうちの名前を生き物達がラムと決められたことが悔しい・・。アニメの主人公の名前からラム。パパちゃんの好きなアルコール(ラム酒)からラムと決めたらしい。ン~、かわいいから、まぁいいか。


1日の中で、特にお気に入りなのは、ママちゃんとのデートが最高なのである。

川の側まで歩き、いつもの場所に座り、まったりしていると、うちの仲間達(犬達)が現れ挨拶をしていく。

中には仲間の下僕(飼い主)が、うちに、お裾分け(おやつ)を持って来てくれることがある。最高!

その仲間達と会ううちに下僕(生き物)達は奴隷ではなく、バディ(相棒)だったことがわかった。

ちなみに、その事(相棒)はわかったが、パパちゃんのことはバディだとは到底理解出来ず、デートに誘われても、歩いている途中、パパちゃんを何故だか足を噛んでしまう!それは生涯直らなかった。二度目の生涯もね!


バディ達は住んでいた場所が、よく変わった。

横浜市(最初の家)~福岡市~東京都江戸川区~横浜市(最初の家に戻り)~横浜市(仮住まい)~横浜市(最初の家の建替え後)

本当に転居はしんどかった。特に馬鹿でかい飛行機とか言う檻の中は最悪だ。

狭い。揺れる。暗い。耳の奥がキーンとなる。

その転居の間に、

福岡市からはモンネというバディが増え、ママちゃんが取られ嫉妬心メラメラ!

東京都江戸川区からは更にネンネというバディが増えたよ。

ママちゃんが更に取られ嫉妬心メラメラメラメラ!

けど、皆と過ごし色んなことがあったけど幸せだった~。

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