緋影と生徒会副会長 察しが良いりんねちゃんは応援することを決意する♪
教室内に入った瞬間、背筋に冷たいものが走り冷や汗が止まらなくなる副会長は、先程の威勢はどうしたのか、足が竦む。
(ま、まさか……さ、誘われて……いるのかッ!?)
不気味な人形(ドール)の冷たく鋭い深紅の瞳と真っ赤な瞳が生徒会副会長を射抜いた瞬間、人類の原始的な生存本能が警鐘を鳴らした。自分はもう祟られた――――――そう悟った生徒会副会長には、もはやこの呪縛から逃れる術はない。
ただ、この不気味な人形(ドール)の望みを叶えるほかに選択肢が残されていないと本能で理解させられた。
恐怖で表情が引きつり、全身の鍛え抜かれた筋肉が痙攣する。それでも、おいでおいでと誘われるがままに生徒会副会長は、一歩、一歩と不気味な人形(ドール)の方へと歩みを進めた。
そして、不気味な人形(ドール)に魅入られているように見える男子生徒の近くに辿り着き、机の上に鎮座している不気味な人形(ドール)の方に視線を向けた生徒会副会長は、りんねちゃんとばっちり視線が合う。
『さぁ、早く話しかけろ』と烈火に燃えるような怒れる瞳でりんねちゃんは生徒会副会長に訴えた。
「お、おい……き、貴様……」
勇気を出して震える声を絞り出し話しかけてきた生徒会副会長の方に視線がゆっくり向く緋影なのである。
(なんだ……この謎のイケメンは……オレになんのようが………………)
(な、なんだ……こ、この不気味な男は!? この私の筋肉が……恐怖しているだと!?)
これがお互いの第一印象だった。無表情の緋影から視線を逸らし、不気味な人形(ドール)の方をチラッと盗み見る生徒会副会長に、りんねちゃんは視線で『早く』『黒板』と訴えていた。
「……き、貴様……こ、黒板を……見ろ」
「……ん? 黒板?」
何故に黒板?と疑問に思いながらも言われるがままに、緋影は黒板に目を向けると、色とりどりのチョークで、可愛らしいフォントで『浮気は許さない』『ハーレムは認めない』『呪殺すんぞ』『巨乳好きは死!』と書かれていた。
「………………落書き……されてるな?」
(つ、伝わって……いない……だと!?)
これには呪いの人形(ドール)であるりんねちゃんも、いつの間にか緋影の方に顔を向け驚愕の無表情であった。どうしていいのかわからずに不気味な人形(ドール)の方に視線を向け次の指令を待つ生徒会副会長なのである。
(これを見せて……このイケメンは一体何を伝えたいんだ? 自分はモテてるぞ……という自慢か?)
(こ、この人形(ドール)いつの間にか男の方を向いている……だと!? や、やはり、この人形(ドール)は、呪いの人形(ドール)なの……か!? しかし、この男……黒板を見ても何も伝わっていないようだが……まさか、生粋のクズなのか!?)
黒板から視線を生徒会副会長に、人形(ドール)から視線を緋影に、そしてお互いの視線が交差し、お互いがお互いに対して内心でドン引きしているのであった。
再度、呪いの人形(ドール)の方に視線を向け指示を仰ごうとした生徒会副会長の方をいつの間にか見ていた呪いの人形(ドール)が『私からのメッセージと伝えて』という視線を向けていたので、生徒会副会長は、ゴクリと喉を鳴らし勇気を出し、声を絞り出す。
「……こ、これは……そ、その人形(ドール)からのメッセージだ」
「…………?」
りんねちゃんを指差し、そう強張った表情で言い放つ生徒会副会長に対して、無表情で首を傾げる緋影なのである。そんな緋影に対して『全く伝わっていない……だと!?』となる生徒会副会長と呪いの人形(ドール)りんねちゃんなのである。
(なんなんだ? この人……オレに何を伝えたいんだ? そもそも、りんねちゃんはただの人形(ドール)なんだぞ……黒板に落書き出来るわけないだろ…………つまり、あれか!?)
考えに考えた結果、察しが良い(良くない)緋影はひとつの答えにたどり着いた。
「つまり、あんたへの恨みのメッセージをオレに消せって言ってるのか?」
「な、なん……だと!?」
緋影は無表情にそう言い放つと、スッと椅子から立ち上がり黒板へと向かっていった。全く伝わってないといった驚愕の無表情なりんねちゃんなのである。生徒会副会長も困惑の表情で立ち尽くし緋影の動きを目で追うことしかできないのであった。
「……ん? 黒板消しがないな……というか……教室内に誰もいないな……次は移動教室だったか?」
(こ、こいつ!? 黒板消しが自分に飛んできていたことに気がついていない……だと!?)
『黒板』『阻止』というりんねちゃんの次の指令にコクリと頷く生徒会副会長は、近くに落ちていた黒板消しを素早く拾い上げ自分の背に隠すのであった。
(………………なるほど。黒板消しが見当たらなくて困っていたのか? なら、早くそう言えば良いのにな)
周囲を一通り適当に見回し黒板消しを探すも見当たらない緋影は、なるほど、得心がいったという感じで教室の外にでようとした。
「ちょ、き、貴様……ど、どこに行く気だ!?」
「どこって……隣の教室からとりあえず、黒板消しを借りに行こうかと」
教室から出ていこうとした緋影にそう声をかける生徒会副会長は、チラッと呪いの人形(ドール)を盗み見ると、ハイライトオフのヤンデレドールアイが『阻止』『絶対阻止』と視線で圧を放ってきていることを察し恐怖で心臓が止まりかける。
「黒板消しなら……ここに……あるッ!!」
「………………は?」
背後に隠していた黒板消しを緋影にひらひらと見せつける生徒会副会長に、流石にイラッとしたのか緋影の表情は無表情であった。
(ま、まずい……な、なんとかこいつに……複数の女性に恨まれていることを自覚させねば……わ、私が……死ぬ!!)
緋影の机の上に鎮座するりんねちゃんのただならぬ怒りのオーラを感知し、慌てまくる生徒会副会長は、どうにか引き止めることには成功したものの、ここからどうしていいのかわからないようで困り果てていた。
そんな、生徒会副会長に対して、しょうがないとなったりんねちゃんは再度黒板にメッセージを追加する。
『浮気は許さない』『ハーレムは認めない』『呪殺すんぞ』『巨乳好きは死!』『緋影のこと!!』と書かれていた。それにすぐさま気がついた生徒会副会長は素早く黒板を指差し緋影にこう言い放った。
「こ、黒板を再び……見ろ!!!」
「…………………………………………なぜに?」
言われるがままに黒板を再び見る緋影は、なぜか、新たに自分の名前が可愛らしい文字で書かれていて内心で困惑し、無表情で考え込む。
(………この教室にはオレ達しかいない……つまり、この落書きを書いたのは……この男ということか? いつのまにこんな可愛い文字で書いたのか…………しかし、彼女もいないオレに対してどういうことだ?)
考えるが全く心当たりがない緋影を、ジト目の無表情で睨むヤンデレ人形(ドール)りんねちゃんは、これで伝わっただろうと思いながら、『浮気は絶対に許さない』という圧を緋影に放っているのであった。そんな、りんねちゃんに怯える生徒会副会長なのである。
「あんた……オレに何が言いたいんだ? はっきりと言ってくれないか?」
やはり、全く伝わっていないようで、コテッと横に倒れズッコケるりんねちゃんなのである。倒れた状態で『なんとかして』と呪いの圧を放って生徒会副会長を脅すりんねちゃんに、恐怖でガクブルになる生徒会副会長は、りんねちゃんを指差し緋影に伝える努力をしようとする。
「だ、だから……そ、その人形(ドール)からのメッセージ……だ!」
「はぁ……あのな……人形(ドール)が黒板に文字を書けるわけ無いだろ?」
思わぬ緋影からの正論だけど、今は正論じゃないことを言われ、しどろもどろになる生徒会副会長は、確かに、普通は人形(ドール)が黒板にメッセージを書いたなど言っても誰も信じないだろう、となる生徒会副会長なのである。
「い、いや……か、書ける……かもしれない……だろ!?」
必死に食って掛かってくる生徒会副会長に、緋影も再び腕を組み思考を巡らせ始める。
(……自分からは言いにくいことなのか? それとも……この男……なにか勘違いしているのか……この男に勘違いさせるような出来事……女関係で………………あ…………)
ハッとなり、今朝の利賀姉妹との出来事を思い出した緋影なのである。そんな緋影をジッと見つめる生徒会副会長とりんねちゃんなのである。
「…………………………………………」
「……な、なぜ黙る!? こ、この私を脅そうとでも言うの……か!?」
もしかしたら、今朝の出来事をこの男が見て、何かを勘違いしているのかも知れないと思った緋影は、なんて説明しようかと生徒会副会長を無表情で凝視し考えていた。しかし、その緋影の行動に対して恐怖を感じたようで生徒会副会長の口調は強い。
「……………………もしかして……ゆゆね………………利賀生徒会長と……ねねちゃんと朝に話していたところ見ていたのか? いや、あれはただ……世間話をしていただけだぞ」
「………………なん……だと!?」
必死に考えた結果の言い訳がこれな緋影に対して、驚きの表情を浮かべ驚愕の声をあげる生徒会副会長は、怒りで全身が震えだす。まさか、騙されていた女性の一人が敬愛する利賀優々子生徒会長と知ってしまっては冷静でいられない生徒会副会長なのであった。
「……人形 緋影(ヒトカタ ヒカゲ)!! 貴様ぁぁぁぁぁっっっ!!」
そして、怒れる生徒会副会長の咆哮に、無表情で驚く緋影とりんねちゃんなのである。ちなみにりんねちゃんはいつの間にか普通に机の上で鎮座し直していた。
「…………えっと……なんで急に怒り出したのかわからんが……あんた、誰なんだ?」
「貴様ぁぁぁっっ!!!、この私のことを知らんのかぁぁぁぁッ!?」
詰め寄ってきた生徒会副会長に内心で動揺しまくっているが、相も変わらず無表情な緋影が、生徒会副会長である自分を知らないことに腹を立て怒りの声をあげる生徒会副会長なのである。
「………………あ……えっと、有名人……ですか? すみません……あんまりテレビは見ないもので……して」
「違う!! 私はこの学校の生徒会の副会長だ!! 入学式や全校集会で見たことあるだろう!?」
「………………あ、えっと………………あぁ……ゆゆね………………利賀生徒会長の近くにいつもいる人……ですか?」
「なんだ!? その思い出し方は!!!!」
あまり、人に興味がなく、人の顔を覚えるのが苦手な緋影が必死に思い出した結果、おぼろげながらに記憶の片隅にゆゆ姉の隣にガタイの良い男が居たなと思い出すことに成功したのであった。しかし、そんな緋影の言動は火に油を注ぐ行為であった。
案の定、烈火のごとく怒り狂う生徒会副会長なのである。
「貴様!! 私の凄さを知らんの……か!? いいか……見よ! この筋肉! 運動神経抜群にして、成績優秀! 一年の時の三学期期末の順位はなんと……!!!!」
マッスルポーズを取り自慢の筋肉をピッチピチになった制服越しに見せつけ、緋影に自分がどれだけ凄いかのアピールを始める生徒会副会長なのである。そして、頭を指差しおつむの良さのアピールを始めた生徒会副会長に対して、緊張の無表情になる緋影なのである。
(ま、まさか……あの、ゆゆ姉より成績がいいのか!?)
「二位の実力だ……どうだ? 凄いだろ!」
「………………そ、そう……ですか」
誇らしげのドヤ顔でメガネをクイクイしている生徒会副会長に対して、冷めた無表情になっている緋影なのである。遠目から生徒会副会長の言動を眺めていたりんねちゃんは思った『こいつは多分馬鹿という奴だ』と。生徒会副会長ということは、にゃおーん!にゃおーん!と煩い泥棒子猫の生徒会会長である優々子とはお似合いのコンビだと思ったりんねちゃんなのであった。
「そ、それより! き、貴様……利賀生徒会長とは……ど、どういう関係……なのだ!?」
「………………どう…いう?」
そう生徒会副会長に詰め寄られ、尋ねられた緋影は目を閉じ回想モードに入った。あれは、入学前の利賀家での会話。
「いいですか! 緋影、学校では私達が義理の姉弟ということは秘密ですよ。後、学校内では、私のことは優々子♪と呼ぶように! いいですね!! 緋影!!!」
めちゃくちゃ強い圧を放ちながら有無を言わさぬ気迫でそう言われてたことを思い出した緋影なのである。また、面倒な事を言っているなと適当に話を逸らして終わらせた記憶の中で、ある致命的なことに気がつく緋影なのである。
(……………………どういう関係という設定にするかは聞いてなかったな)
「…………………………………………」
「……な、なぜ黙る……のだ!?」
再び無表情で黙り込む緋影に、ちょっと恐怖を感じたじろぐ生徒会副会長と必死に義理の姉の優々子との関係を考えている緋影なのである。
「そうだな……オレとゆゆね……………………………………利賀生徒会長は」
「貴様と利賀生徒会長は!?」
「……………………ただならぬ……関係……だな」
緋影のとりあえず誤魔化しておこうと適当に言い放った発言で教室内に衝撃が走る。いつの間にかりんねちゃんもハイライトオフのヤンデレ無表情ドールフェイスでジッと緋影のことを見つめていた。
「き、貴様!! 純粋無垢で可憐な利賀生徒会長までも毒牙にかけたというのかッッッ!!!!!!!」
再度、怒り狂う生徒会副会長の怒号に疑問を感じる緋影なのである。
「……え? 純粋無垢……誰が?」
「だから、利賀生徒会長だ!!!!」
「…………ん? あれ、ゆゆ姉は実は生徒会長ではなかったのか? いや、でも、生徒会長として挨拶してたような……あれ、オレの見間違いか?」
「貴様、何をブツブツ言っている!?」
純粋無垢な生徒会長とは一体誰のことを言っているのだろうと本気で疑問に感じている緋影なのである。
「いや、もう一度聞いていい……ですか?」
「何を……だ?」
「えっと、利賀生徒会長って………………小さくて、うさんくさい笑顔を浮かべて、常に誰かを貶めたいといった邪気を放っている人では?」
「誰だ!? それは、利賀生徒会長といえば、可憐で美しく、天使のように慈愛で満ちた方だろ!!」
「……誰が?」
「だから、利賀生徒会長が……だ!!」
「え? いやいや、ゆゆね………………利賀生徒会長は多分、そんな人ではない……ですよ」
この人、何を言っているのだろうと本気で心配になる緋影なのである。ゆゆ姉は、純粋無垢とはかけ離れた存在だぞと内心でものすごく失礼なことを考えているのであった。
いつの間にか、緋影たちの近くの机の上に移動し鎮座していた賢く察しが良い呪いの人形(ドール)であるりんねちゃんは探偵よろしくとすぐに察した。『あ、こいつあいつのことが好きなんだ』と、あいつとは勿論、利賀優々子生徒会長のことである。
りんねちゃんは『こいつ趣味悪いな』という視線で副生徒会長のことをドン引きな無表情で見つめていた。
「き、貴様!! 利賀生徒会長を籠絡し、更に愚弄するか!? ゆ、許さん! 断じて許さんぞ!!」
「籠絡って……ゆゆね………………利賀生徒会長を……ですか? 誰が?」
「貴様しかおらんだろぉぉぉぉぉッッッ!!!」
「え? オレが? いや、無理だろ……あのゆゆね…………利賀生徒会長だぞ? 多分、あの人、初恋もまだだと思うぞ……というか、果たしてあの人は恋愛感情というものを理解できるのだろうか?」
「なぜ、貴様がそれを言うんだ!! 貴様は何様だ!!!」
腕を組み目を閉じ真剣に悩みながらそうブツブツ呟くように言い放つ緋影に、怒れる生徒会副会長の怒号が飛ぶ。ゆゆ姉を籠絡するなど、どれほどの男ならできるのだろうと考え込む緋影なのである。
「えっと、とりあえず……それは誤解……ですよ……ただ、朝に……知り合いと居る時に……たまたまゆゆね…………利賀生徒会長と会って会話しただけ……ですよ……その、知り合いが利賀生徒会長の……中学時代の後輩だったみたいで」
よし、我ながらいい感じに言い訳できたと内心ではドヤ顔の緋影だが、相も変わらず無表情であり、そんな緋影に対して『やっぱり私の旦那はコミュ症なのでは?』となったりんねちゃんなのである。りんねちゃんの無表情のジト目が緋影に冷たく突き刺さっているのだが、超鈍感な緋影は全く気がついていない様子である。
「な……なるほど……な、なら、この人形(ドール)は……なぜ……こんなメッセージを……しかも、貴様は自分でただならぬ関係と……って、うぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
いつの間にか近くの机の上に鎮座していたりんねちゃんに気がつき驚きの悲鳴をあげる生徒会副会長に、無表情な緋影の冷たい視線が突き刺さる。
「えっと、その……副会長のようって……結局なん……ですか?」
「あ!! そ、そうだ!!! 私はその人形(ドール)を没収しにきたのだった!!!!」
「え? りんねちゃんを……ですか?」
空気が変わる。驚き落ち着いたところで、緋影にそう問われ、素直にここに来た理由を口走ってしまった生徒会副会長なのである。りんねちゃんが『は?』といった感じで絶対零度の無表情で生徒会副会長のことを睨んでいる。
「い、いや………………そ、そんなことは……ない!」
無表情の緋影に睨まれ、呪いの人形(ドール)に『没収してみる?』といった無表情で睨まれ、タジタジになる生徒会副会長なのである。
「ぼ、没収は……しない!! で、では、わ、私は生徒会室に行かなければならないので……これで失礼する!! いいか、これ以上問題を起こすんじゃないぞ!! 人形緋影(ヒトカタヒカゲ)!!」
そう言い捨てて、生徒会副会長は慌てながら一年一組の教室から逃げるように去って行った。
そんな、生徒会副会長に対して、りんねちゃんは、ニヤリと無表情になる。良からぬことを企んでいる無表情になるりんねちゃんは、あの筋肉男と泥棒子猫の優々子をくっつければ問題のひとつは解決と、ここはひとつ縁結びの人形(ドール)になってあげますかとニヤニヤと無表情を浮かべているりんねちゃんなのであった。
「……結局……なんだったのか……」
そう独り言を呟き、緋影は床に落ちた黒板消しを拾い上げ落書きされた黒板を綺麗にするのであった。
綺麗に自分のメッセージが消されるのをいつの間にか教卓の上に鎮座していたりんねちゃんが不満で不服そうな無表情で見つめていた。しかし、すぐに、消され舞うチョークの汚れを嫌ったのか、いつの間にか緋影の机の上に戻って鎮座し緋影の背中をジッと無表情で睨むりんねちゃんなのであった。
「生徒会といえば……そうか……ゆゆ姉がいるな」
メッセージを消しながら、そう呟く緋影は、りんねちゃんの制服の件でもう一人頼めそうな人物に思い当たった。ちょっと、否、かなり悩んだ結果、いちよ頼むだけなら頼んでみようと魔王城に挑むごとき決意をする緋影なのであった。
そんな、緋影に対して『また、浮気か!?』とヤンデレ人形(ドール)になるりんねちゃんなのであった。
その後、生徒会室に呪いの人形(ドール)の回収に失敗し、あの人形(ドール)のヤバさを報告した生徒会副会長は会長の優々子に尋ねる。
「そういえば……利賀生徒会長!! あ、あの……人形(ヒトカタ)という男とは……どういう関係なのです……かッ!?」
「ひか………………コホンッ! 人形君とは……そうですね」
思わせぶりに考え込む素振りを見せる優々子に、ゴクリと喉を鳴らし緊張の面持ちになる生徒会副会長なのである。
「……ただならぬ関係……ですかね♪」
唇に人差し指を当て、意味深な笑顔を浮かべ、ウィンクしながら、意味深にそう言い放つ生徒会長の優々子に衝撃を受ける生徒会副会長なのである。
(おのれ、人形緋影!! 私に嘘をついたな!! やはり、純粋無垢な利賀生徒会長を籠絡しているでは……ないかッ! この私が絶対に貴様の数々の悪事を暴き、利賀生徒会長をお救いしてみせるッ!! 覚悟しておけッ!!!!)
拳を握りしめそう心のなかで闘志を燃やす生徒会副会長に、ニヤリと怪しい笑みを浮かべ眺める優々子なのであった。
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