呪いの人形りんねちゃん学校に初登校編 登場テンプレツンデレ義妹系ヒロイン利賀 寧々子

 絶対可憐最強美少女生徒会長の利賀 優々子(トガ ユユコ)が、超絶不気味最恐呪いの人形(ドール)のりんねちゃんの正妻?呪いのアピールに敗北し、畏怖から学校に向かって歩き出した緋影の右前腕に鎮座しているりんねちゃんから数メートル距離をとって、恐怖と嫉妬の混じった何ともいえないぐぬぬ顔を俯かせながら優々子はとぼとぼと緋影の後について行く。


 優々子の心の中で呪いの人形(ドール)りんねちゃんは、すでに恋敵と認識され、排除すべき敵となっており、嫉妬と憤怒からどうやって焼却炉送りにしてやろうかと思考を巡らせる優々子の視線が地面からチラリと前方を歩く緋影の方に向くと――――――呪いの人形(ドール)が、緋影の肩から両手を出してぷらぷらぷら~んとなりながらジッと優々子のことを見ていた。


 優々子の瞳と呪いの人形(ドール)のグラスアイが合った瞬間、フッと愉悦からの余裕の勝利の笑み(無表情)な呪いの人形(ドール)にギョッとなる優々子なのだ。


 やっぱり、いつの間にか動いて挑発してくる呪いの人形(ドール)に対して、優々子は真っ青になり恐怖で顔を伏せる――――――が数秒後、脳内で呪いの人形(ドール)の憎たらしい挑発顔(無表情)が思い出され、屈辱感と敗北感に襲われ、激しい怒りとものすごい恐怖心で涙目ぐぬぬ顔となる。


 やめておけばいいのに、ここで視線を逸らせば負けだとばかりに、優々子は再度チラリと緋影の右肩を確認すると――――――なにも居ない。目を閉じ、ホッと一安心しながら胸を撫で下ろす優々子が再び目を開けると――――――呪いの人形(ドール)が緋影の右肩でぷら~んとしながら優々子の方を見て愉悦という感じの無表情でゴゴゴゴゴゴゴッと呪いの圧を放っていた。


 短い悲鳴を上げ、恐怖で再び顔を伏せる優々子だが、数秒後、また挑発されたとムカムカして怖いくせに、なぜか再度、緋影の肩を確認してしまう優々子、いない、目を閉じ安堵、目を開けるといた、悲鳴を上げるという流れを何度も繰り返し、前を歩く緋影はたまに背後から聞こえる優々子のバリエーション豊富な短い悲鳴に対して、ゆゆ姉ほんと大丈夫なのだろうかと心から心配になる。


 だが、しかし、これ以上りんねちゃんのことを詮索されたくないので、無慈悲に声をかけずに挙動不審な義理の姉の優々子を完全にスルーしている無情な緋影なのであった。


「あっ!! に、兄さ…………ん………と……ね、姉さん!?」


 そんな、呪いの人形(ドール)りんねちゃんの優々子を揶揄うための大胆な行動に全く微塵にも気がついておらず、真正面だけを見て学校に向かって歩を進めていた緋影に突如として声をかけてきたのは義理の妹の利賀 寧々子(トガ ネネコ)なのである。


 どうやら、義妹の寧々子はかなり前からスマホを弄りながら、電柱を背にし自慢のサイドテールを弄りながら義兄である緋影のことを待っていたようで、複雑そうな無表情で登校してた緋影に気がつき暇そうに眺めていたスマホをスクールバックに慌てて突っ込むと、すぐに声をかけ寧々子は緋影に駆け寄ろうとしたのだが、実の姉の優々子の存在に気がつくとピタリと歩みを止め静止する。


 恐怖で俯いていたぐぬぬな優々子が、またしても、懲りずに緋影の右肩を確認しようとチラリと確認したとこ呪いの人形(ドール)は見当たらず、前方の緋影に対して愛嬌をふりまき手を振って近づこうとした寧々子の存在に気がつき、全く通学路でもないのにこんなところにいる実の妹に対して、圧を放つ優々子なのである。


 優々子の圧に気がつき、ピタッと静止していた寧々子の行き場のなくした右手が誤魔化すように頭に引き寄せられ、ヤバいヤバいと気まずそうに頭を掻きながらへへへと苦笑いで誤魔化そうとしていた。


「…………ぐ、偶然だね…………こ、こんなところで……な、なにしてんの?」


 実の姉の優々子の視線が妹の寧々子に完全にロックオンされ、ロックオンされた寧々子はめちゃくちゃ目を泳がせながら苦し紛れに偶然を装おうとする。さすが姉妹、考えることは同じであった。


 だが、そんな苦し紛れの言い訳が姉妹の優々子に通じる訳もなく、瞬時に天使の笑顔を浮かべ更に強い圧を放ちだす優々子に対して、冷や汗が止まらない妹の寧々子なのだ。


(姉さんが……笑顔でなんでここにいるのって聞いてきてる!? ど、どうしよ……お義母さんから兄さんが学校を何日も休んでるみたいだから心配なら会いに行ってみれば(片目ウインク☆で)と言われて会いにきたとか…………正直に言ったらマズイよね…………な、なにか言い訳考えないと……)


 そんな、利賀姉妹の視線でのやり取りなど鈍感な緋影が気がつくはずもなく、単純になんでねねちゃんここで自分を待っていたんだろうと疑問そうな無表情を浮かべていた。


「……ねねちゃん? なんでこんなとこに? 学校…………たしか反対方向だったよな?」

「……え!? あ……べ、別に兄さんに会いに来たとかではなく…………さ、散歩、散歩してたらたまたま……たまたまだから!!」


 緋影にそう問われると、すぐに腕を組み目を閉じそっぽを向いて典型的なテンプレツンデレポーズをとる義理の妹の寧々子がこれまた、ツンデレテンプレセリフを見事に言い終え数秒後にうっすらと片目でチラリと実の姉の優々子を盗み見るとまだ天使の笑みを浮かべながら怒って圧を放っていた。


(さ、流石にこれじゃ……姉さん納得しないよねっ!! あの笑顔……あれは絶対キレてる……内心でものすごく怒ってる!! この泥棒妹猫がって顔をしてる!! け、けど、正直泥棒猫は姉さんだからね!! あたしのほうが先に兄さんの事好きになったのに!!!!)


 内心で実の姉に対して怒りを示すが、生まれたときから姉には逆らえない妹の寧々子は、天使の笑顔でヤバい圧を放っている優々子から顔を背けて、心のなかでやるしかないと決意を固める。


「だ、だいたい…………あ、あたしが兄さんなんかに会いに来るわけないじゃん!! へ、変な勘違いしないでよね!!!!」


 めちゃくちゃ強い口調でテンプレツンデレセリフみたいなことを言い出す寧々子に対して、緋影は無表情である。無表情ではあるのだが――――――。


「そ、そうか………………まぁ、そうだよな」

(あああああああっあぁぁぁぁぁぁぁっ!! ほら~ッ!! 素直で純粋で超絶鈍感な人の気持ちを理解できない兄さんが’落ち込んじゃたじゃん!! あたしだってツンデレムーブなんて取りたくないよ!! でも、でも、姉さんが……!! 姉さんが……!! ごめんね!! 兄さん!!!!! でも、ほんとは好きなの!! それだけは伝わって!!!!!! 世の中にはツンデレって概念があるんだよ!! 兄さん!!)


 めちゃくちゃ心のなかで自分のツンデレムーブに後悔しまくっている寧々子が、チラリと姉の方を盗み見ると、よくできましたとばかりに天使な笑みを浮かべている悪魔のような姉の優々子に対して、ひとまずは一安心とホッと胸を撫で下ろす寧々子なのである。


 そう、この利賀 寧々子(トガ ネネコ)という人物はテンプレツンデレ妹を演じているのであった。義理の兄と話したいが、話すと実の姉の優々子が無言で圧を放ってくるため、しょうがなく優々子の前ではツンデレムーブするしかない可哀想な子――――――それが利賀 寧々子(トガ ネネコ)という人物なのである。


 そんな二人の姉妹の仲の良い?やり取りに対して、寧々子登場までは超絶愉悦気分だった呪いの人形(ドール)りんねちゃんは、早い段階から新たなる人メスの登場に気がつき、ムッと不機嫌な顔(無表情)になっており、すでに倒した雑魚の人メス(優々子)を無視し、いつの間にか緋影の右前腕に鎮座し直して正面を向いて前方の寧々子に対してゴゴゴゴゴッ!!っと呪いの圧をずっと放っていたのだが――――――完全にスルーされていた。


 圧倒的存在感から恐れおののかれる呪いの人形(ドール)である自分を無視するとは何事かと更に呪いのオーラを強め、無視するなー!!という表情(無表情)でテンプレツンデレポーズを取り続けながら、内心でものすごく落ち込んでいる寧々子を凝視する呪いの人形(ドール)りんねちゃんなのである。


(姉さんも……兄さんに会いにきてたのかぁ……し、失敗した…………お義母さんに乗せられて勢いで来ちゃったけど……この後どうしよ……姉さんがいると兄さんと普通に話せないし……)


 いつの間にかめちゃくちゃ前のめりになって寧々子の方をガン見して、ものすごい恐怖を振り撒き、呪いの圧を放つ呪いの人形(ドール)りんねちゃんに全く気がついていない様子の寧々子は、緋影の数メートル後ろで立ち止まってこちらを見ている実の姉の優々子をチラチラ盗み見て内心で焦りまくっていた。


 それだけ、姉の利賀 優々子(トガ ユユコ)という存在は、妹の利賀 寧々子(トガ ネネコ)にとっては異質なのだ。


(ど、どうしよ……あたしがここに来たのはお義母さんから兄さんの事聞いたからで……それが姉さんにバレて、姉さんとお義母さんの関係が悪化したら………………マズいマズい!! ドドド、どうしよ…………で、でも……まぁ……お、お義母さんなら大丈夫だよね……あの……姉さんと良好な関係を築けてるし…………それに…………それは…………実の母ですら……あの姉さんとは…………)


 ここに来たのが、義理の母の理子が義理の娘の寧々子に対して発破をかけたためだと、優々子が知れば、姉と義母との関係が悪化しないかと心配になる寧々子は不意に幼少期の嫌な出来事を思い出し必死に思い出に蓋をする。


 大嫌いだった実の母を家から追い出すことに成功し、満面な天使の笑みを浮かべていた幼い頃の実の姉の優々子の顔が脳内でフラッシュバックする寧々子だったが、数秒後、チラリと確認した姉の優々子の様子に違和感が――――。


(姉さん……な、なんかいつもと違って圧が弱いような……というか、姉さんなにかに怯えてない? そもそも、なんで兄さんからめちゃくちゃ離れて行動してるんだろ? それに……こういう時……姉さんは必ず私に近づいてきて、笑顔で京都よろしくとばかりにめちゃくちゃ遠回しに牽制してくるのに…………いったい…………ど、どうしたんだろ?)


 なにかに気がつき震えて顔を伏せている実の姉の優々子に疑問を感じる寧々子は首を傾げる。優々子のほうが先に気がついたのだ――――――緋影からものすごくホラーの気配が発せられどんどん強くなっていることに――――――。


「………………ッ!?」


 実の姉の利賀 優々子(トガ ユユコ)という存在に気を取られ、今の今まで緋影の右前腕に鎮座している呪いの人形(ドール)に全く気がついていなかった寧々子の視線が吸われるように、ものすごい形相(無表情)でゴゴゴゴゴゴゴッッッとめちゃくちゃ前のめりになって恐怖の圧を放っている呪いの人形(ドール)へと向かう。


 呪いの人形(ドール)を見て、数秒ピタッと静止し、みるみると恐怖の感情に支配され、SAN値がみるみる削られた寧々子は冷や汗が止まらなくなる。


 もちろん、その後、寧々子が恐怖の悲鳴をあげるのは当然のことであった。

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