北風を微妙に避けし丘の上~昭和の冬は真っ盛りへと

第276話 今年も、正月の家

正月の家


聞こえはいいけど、要は、集会室にみんな集まっているだけ。

後はテキトーに日々を過ごし、ときが来れば飯を食う。


職員の中には、御屠蘇を飲む人も。特に男性の幹部職員。

今なら問題かもしれないけど、当時はそんなものでした。

そこまで目くじらたてなくても、いいんでないかな、とは、

私の個人的な意見です。

今どき、社会全体がそういう空気かどうかは、別。

これ、養護施設だけの問題じゃないよ。


各寮に散らばっておられても、職員側は対応に苦慮するからね。

ドウセなら、みんなまとまって過ごしてくれたら。

そこのこたつで寝込むも、ある程度、よし。

寝る時くらいは、自分の部屋に帰るのも、よし。


要は、職員の手間を省き、子どもらの寂しさを紛らわせるわけ。

それが、この企画。

良い悪いの問題じゃない。そういうためのものです。

種を明かせば、ね。


とにかく、年は明けました。

雑煮は、ごく普通に出されます。

卒園生も、何人か来てくれています。

そういう雰囲気も、悪くはなかったと思う。

いつまでもそんなしあわせは、続かないからね。

だからこそ、このときを楽しもうではないか。


去年は、神戸のサウナに泊まったっけ。

そんなときに、能登の大地震。

神戸でも、結構揺れたよ。

そんな正月なら、いらねえよ。

だよね。

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