第247話 弾除けたちへのララバイ

かの少年の相手などハナから無理だったと気づいた、理想泥酔者。

弾除けにしていた数歳年長の同僚は、すでに退職して高飛び後。

弾除けにされていたあの保母も、その前にとっくに退職済。


彼の人生に責任を負う気など、誰にもハナからなかったのである。

いかに詭弁を弄そうと。

否、したくてもできる相談などではなかったのである。

代表者自ら、彼の機嫌を取るようなことを述べようと。

手柄はワシ、責任はおまえらじゃ!

そんなつもりで、自分らを雇って仕事させていたのか?


自由の森のトップは、孤独なもの。

ここはもう、自ら出ていくしか道のない少年のこと。

出来ることは、してやらねばならない。

4代目代表者のその思いは、彼をすんでのところで途絶させずに済んだ。


弾除けにした・された職員たちは、いずれ彼の餌食となるかもしれない。

そこまで4代目は、意識が回っていただろうか。

しかしいずれにせよ、明白となったことはある。


「若くてみんなと一緒に遊んでくれる、元気な園長先生」


かつて老保母が述べていたような理想像など、彼の前には無力であった。

前園長やかの老保母の事なかれ郷愁論など、もはや昭和の過去の異物。

彼の前には、妨害物でしかなかったのである。

あのロートルどもの子どもらしさに、未来など、欠片もなかったのだ。


嗚呼これも、昭和末期の悲喜劇や。

自由の森に悲劇のエンド。

ってか?

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