第241話 孤独に耐え抜く力を
自由の森の群れたがる雑魚どもは、家庭さえあればなんとかなると思っていた。
結婚して家族をもって子どもが生まれれば、孤独なんか無縁になる。
温かくて楽しい、笑いの絶えない家庭さえあれば、
・・・。
だが、彼にそんなものは通用しなかった。
生ぬるくむさくるしい、笑いものにもならぬ家庭。
結婚して家族をもって子どもが生まれたところで、
実態それでは意味もない。
自由の森の群れさせたがる雑魚どもの考えなど、
そのど真ん中以外のどこにもない。
小室直樹の本を読んで、彼はこの言葉を知った。
アノミー = 無連帯
孤独に耐え抜く力がないと、生きていけない世界。
それが、執筆業。
自ら書き残していったものは、ただそこにある。
その文を自らが書いたという事実だけが、永遠に残るまでのこと。
そこには、温かさも楽しさも笑いもない。
それを見つける努力は、読む者自らに求められる。
書く者においては、言わずもがな。
懇切丁寧に助けてくれるほど、彼の文章は甘くはない。
孤独に耐え抜く力なくして、彼の仕事は成立し得ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます