第144話 総括と称して対手を叩き潰す側の論理

私は今、かつて接触のあった人物を大いに批判している。

否、罵倒と言ってももはや過言ではないかもしれない。

その対象は、自由の森の元職員。

無論今の元職員氏ではなく、当時の彼の言動を叩いている。

それはまず申し添えてく。


ここに至るまで、随分葛藤した。

ある意味「お世話になった」人ではないのか。そういう指摘もあろう。

だが、そんなものはテメエの浅はかな情緒論に過ぎない。

評価できるのは、テメエじゃねえ。

テメエの教え子の前でテメエを「恩師」とホザく元教師の論理と同列。

そんなものは、普通科進学校クラスなら教え子から即論破で終わりや。

わしは、かの人物を徹底的に叩きのめさねばならん。

二度と、わしに分かった口を利いてこれない程度には。

それが、わし、もとい、私に求められた使命なのである。


そうしないと、あの世界は決して良くなることなどない。

総括もなしに無反省でへらへら。

過去の出来事を「悲しい事件」などとホザいて終らせるような、

そんな連中を許すほど、私は甘くない。

そろそろ、その総仕上げをやります。

私が本を書いていること、著述業をしていることを、

当時の私に関わった児童福祉関係者は知っている。

だ、彼にだけは、そのことを一言も話していない。

彼はひょっと、知っているかもしれない。

否、知っているだろう。その可能性は高い。


彼を叩きのめすのは、実に辛い所業だ。

今なお、十二分辛い。

だが、やらねばならんのである。

彼は今、私の文章をどこかで読んでいるとして、

どんな思いで読むだろう。

どんな思いで、読んだだろう。

尋ねてみたい気もあるが、それはしない。

あえてしない。


少年の私の前に立ちはだかったあの人物。

後ろめたい気持ちを持ちつつも、わかった口を利いていた。

それが、当時の彼の仕事だった。


私は今日も、総括と称して文字を書く。

当時の彼を徹底的に叩きのめすべく。

それが、今の私の仕事なのである。

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