第132話 豪渓の滝

小学校低学年の頃。

あれは、1978年のことでした。


岡山から伯備線の気動車に乗って、豪渓へ。

そこからとにかく、歩いてやたらに距離のある豪渓の滝へ。


冷たい水と涼しい木陰。

だけど、そこに行くまで、うちに帰る迄が、大変だった。

なんか、ひたすら歩いて辛かったな。そのことを思い出した。


家庭もどきかもしれない。

所詮は、他人の家である。

だけど、両親のいる家庭には違いない。


冷たい水と涼しい木陰。

すでに立秋を過ぎ、残暑と銘打つべきときぞ来たる。

冷たく涼しいのは、水と木陰だけ。

これぞまさに、自然冷房。


日の当たる場所は、灼熱の煉獄この世の地獄。

それでも、あの頃のあの自由の森に比べれば、

涼しくも暖かい地であったことは確かである。


1978年。

今も走るキハ40・47デビュー前夜のおはなし。

涼みたければ、滝の水と木陰に行くしかなかった?

そんな時代の、一コマ。

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