第96話 わしらの対応が、悪かった。

わしらの対応が、悪かった。


宴の後、もとい、あの混乱と狂騒の後。

彼らはことある毎に、この言葉を発した。

彼らには、そのことにすでに気付いていた。

だが、口に出すのははばかられていたらしい。

そうなれば、テメエの責任追及が待っているから。

上は園長から叩かれ、下はかの元少年に突き上げられ。


本来やるべきことができないのを、

目先の目クラマシのようなことばかり言って、

ごまかし、ごまかし。

子どもだましを承知で、

だましだまし、

その日その日を、

なんとか、

彼らは生きていた。

生活の地でもある、その職場で。


そして、その結果。

自らの理想とする社会観も人生観も、

子どもたちに受入れられることはなかった。

特にあの少年。

自分の思いの吐露等、彼は歯牙にもかけていなかった。

彼にはしょせん、小賢しい戯れ言でしかなかったのだ。

彼は、ことある毎にどやしつけてきた。


三流教師も見抜けぬテイタラクで、

よくおまえら、人を指導とか抜かせたものだな。

なんだ、その「児童指導員」という役職は?!

笑わせるな!


中学校のベテラン教師でもある詩人のように、

済んだことだと言ってくれればいいのだが、

そんな甘い話になるわけもない。


何を言われても、黙って耐えるしかない。

この地でこの仕事を続ける限り。

そう、わしらの対応が、悪かったのだ。


覆水、盆に返ることなど能わず。

嗚呼無情。

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