第59話 高2=16の春 第3話
16の春を横道にそらせて突破した(!?)少年。
彼の名は、宮木正男(仮名です)。
岡山にいられなくなったのか居たくなくなったのか。
こんな田舎、おってもしゃーねーわと思ったのやら。
まあ、そこはいい。彼はとにかく、東へと向かった。
幼少期から自由の森に共に預けられた姉がいたから。
そこまで行けば何とかなろう。とりあえずは、だが。
姉はかなり早いうちに結婚していたようである。
となれば、姉の他にその夫がいるということに。
姉の夫がどう思ったかはわからない。
しかし、彼は実の姉にまで愛想を尽かされた。
よく言えばやんちゃ、悪く言えば乱暴者。
その心根のまま成人した弟を、彼女は持て余したのか。
いくら自由の森の職員が家族の家庭の兄弟姉妹のと御託を並べたところで、
いつまでもよしよしと面倒を見てやれるほど、姉もお人よしではない。
他にも父か母かいたようであるが、そちらからも愛想を尽かされて。
かと言って、同級生の作家氏のように、
人とのつながりを次々作ってそれをもとに生きていく力もついていない。
彼・宮木正男は、どこにも行く場がなくなった。
そして久しぶりに、自由の森にその存在が知れ渡ることになったのである。
あの日から約10年少々経過した、ある日のことである。
一度目は、縁などないはずの兵庫県北部の警察署から。
二度目は、ついに、自由の森のある地も管轄する地元の警察署から。
いずれも、彼がいわゆる「行き倒れ」になったという情報であった。
かくして、続けたくもない話は、まだ続く。
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