第18話 改造三味線のおじさん

20年程前、よく行っていたスナック界隈で出会ったおじさん。

Sさんという方だが、御本人の芸名は、たしか、


ナギラコウシン


そう名乗って、かれこれ活動されていました。

三味線をもって、スナック界隈を営業。

カラオケに合せて三味線を弾くわけよ。

わけわからんけど、ま、そんな芸もあったものか。

ちなみに、宴会なんかにも呼ばれていくことはあった模様。

着物を着て営業されていたっけな。


そのおじさんの家に、一度、招かれたことがあります。

市営住宅の一角でした。

何と、その家の中には、茶色の猫様がおられました。


天敵なる楽器と同居される猫様の巻


そのギャップが、なんか面白かった。


いつだったか、そのスナックでお会いした時、こんなことも言われた。


そんな「はした酒」なんかで酔ってどうするンじゃ!


はした金という言葉はあるが、はした酒なんて言葉は初めてだ。

これは使い出ある言葉や!

そう思っているうちに、かれこれ応用バージョンができた。


はした酒、はした飯、・・・


詩作に使える言葉のバージョンは、こんなことから増えていたのよ。

こんな出会いにも、感謝です。

でもあの人、昭和6年生れって言われていたから、

もう、亡くなっておられるだろうな。

あの後20年来、お会いしていないし。

猫様は、言うにも及ぶまい。


どんな出会いにも、それに応じた価値があるものである。

あの自由の森にしても、それは同じ。

ってことね。

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