第31話 女子高生と会社員 2
結瑠璃ちゃんが言うには俺にだけ当たりが強いのは、如月にとって俺が特別だからということらしい。でもだからといって、如月のいない所で勝手に決めることではない。
「彼女はいないけど、彼女にしたい人ならいるよ」
俺は確かに結瑠璃ちゃんにそう伝えた。
「そうなんですか。分かりました」
結瑠璃ちゃんも俺の意図を
「それならデートしましょう!」
「俺の話聞いてる?」
「はい! 聞いてますよ。気になる人がいるってことですよね!」
「そうだね。だからデートしましょうの意味が分からないんだけど」
「私とデートしましょう!」
「しないよ」
「正確にはお姉ちゃんと私と一緒に、です」
「始めからきちんと正確に伝えようね」
あれ? 正確に説明してもらってもやっぱり意味が分からないぞ。
「お姉ちゃんとデートしたことありますか?」
「買い物した帰りに食事したことと、会社の後輩の子を入れて三人で海に行ったことはあるよ。その三人でカフェに行ったこともあったかな」
「それはつまりお姉ちゃんと二人では、ほとんど出かけたことが無いってことですね」
「言われてみればそうかもしれない」
「それじゃお姉ちゃんの魅力が伝わりません。やっぱりデートしましょう」
「お姉ちゃんのいない所で勝手に決めるのは良くないよ。それに、結瑠璃ちゃんも来るんだよね?」
「大丈夫ですよ。私は途中で急用ができて帰る予定ですから」
「予め分かってる急用とは!?」
「私も行かないと、お姉ちゃん来てくれないと思います」
「そうかな? さっき言ったものはお姉ちゃんから誘ってきてくれたよ」
(全部が半強制だったけど……)
「俺も行くことをちゃんと言っておいてくれるかな」
「大丈夫ですよ、ちゃんと三人でってこと話しますから。私はお姉ちゃんの魅力を分かってほしいんです」
結瑠璃ちゃんは本当にお姉ちゃんのことを考えているんだな。どうする? 俺はフリーなんだし、この話に乗っても問題は無いけど。
「お
「誰がお
「遊園地です」
遊園地って最後に行ったのいつだろう。何する所だっけ? でも一日居られるから移動も無いし、いいのかもしれない。
「分かった。そこまでお願いされたら断れない。それに断る方がお姉ちゃんに失礼だと思う」
「それなら決まりですね!」
そして約束の日。待ち合わせ場所で待っていると、如月姉妹がやって来た。
「お待たせしました!」
結瑠璃ちゃんは黒スキニーパンツにゆったりめの白Tシャツという、シンプルな服装だ。160センチ後半であろう身長も手伝って、脚が細く長くモデルみたいなスタイルの良さ。
そして種類は違うが、今日もショルダーバッグを斜めがけしていて、『デカい』部分が強調されて実にけしからん!
一方の如月は、茶色がかったふわふわポニーテールに、白いハーフパンツと水色Tシャツというやっぱり露出多めで、『デカい』部分が目立つ、けしからん服装だ。
俺は今から、けしからん美人姉妹と遊園地デートをするのだ。これはモテ期。
「アンタいつの間に結瑠璃と仲良くなってたの?」
「少し前に偶然本屋で会ってファミレスに行った日だな」
俺と結瑠璃ちゃんが二人で会っていたことは、結瑠璃ちゃんから口止めされている。
「ふーん、確かに結瑠璃はスタイルも良くてかわいいもんね。でも結瑠璃はまだ高校三年生よ。アンタとは7つも年下なの。アンタが高校生の頃、結瑠璃はまだ小学生よ。
ま、アンタがどんな趣味だろうと私は口出ししないけどね」
「変な言い方をして勝手に変な誤解するんじゃない! 俺はただ結瑠璃ちゃんから、三人で遊びに行こうと誘われただけだ」
「結瑠璃ちゃんねぇ……」
「一応言っておくけど、俺は如月さんと呼ぼうとしたからな。これは結瑠璃ちゃんからのリクエストなんだよ。そうだよね?」
俺は結瑠璃ちゃんに証言してもらおうと、黙って見ている結瑠璃ちゃんに聞いた。
「なんだか二人、とっても楽しそう。もう付き合っちゃいましょう!」
(ダメだ、今日一日まともに過ごせる気がしねえ)
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