新装版フォーチュン・クエスト　世にも幸せな冒険者たち／深沢美潮／電撃文庫、328ページ

　十年単位での昔に初読したときに、当時の私の中に新たで革新的な要素をもたらしてくれた小説。

　ちょっとメタいライトファンタジー冒険譚です。

　でもそのメタさというのがなんとも絶妙で、すごく魅力的なのです。

　この物語は、剣と魔法の世界で奮闘する新米冒険者パーティの一員、パステルの一人称でつづられます。

　パステルはマッパー(地図作る人)で詩人でもあり、パーティの冒険の記録を書き残してそれで収入も得たりします。

　冒険者と言っても彼らは駆け出しですから、ドラマチックな英雄譚とはまったく無縁。

　お世辞にも優秀とはいえない新米冒険者たちが、慌ててモンスターの図鑑のページを捲る姿には、すごく親しみが湧いてしまいます。

　ゲームみたいな、ある種ユーザーフレンドリーで明快なシステムと、明るい世界観は素直に楽しいです。

　冒険は上手く行くこともそうでないこともあるけど、この仲間たちの姿を見ていると何とかやって行けるんじゃないかなと、明るい気持ちにさせてもらえるのです。

　再読してみたら、冒険に憧れていた初心を思い出させてもらえた気持ちになりました。

　私は異世界ファンタジーものも、コンシューマーゲームのRPGも好きですが、これもその原点となる作品の一つです。

　最近、ついに最終回を迎えた模様です。

　また読み返してみたい、ライトファンタジーの代表的な一冊だと思います。

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