28 黒猫の三角(森博嗣)
黒猫の三角/森博嗣/講談社文庫、427ページ
森博嗣の代表的な作品の中の一つで、いわゆるVシリーズ。その第一作です。
様々な人物の視点から語られる、個性派揃いの登場人物たちによるミステリです。
キャラ文芸のような要素もあるのかもしれません。
繰り返しになりますが、登場人物たちがまず個性いっぱいです。
名前もキャラも濃厚で。
ちなみに私の好きな登場人物は練無君です。国立大の医学生で少林寺拳法の得意な可愛い女装男子です。
話を戻しまして。
文体は森博嗣ならではの空気をまとっています。ちょっと硬質な手触りがして。理系の大学教員だったそうですから、その経歴もあってこういう文章の書き方になったのかもしれませんね。
独特だと思います。最初は読みにくかったのですが、なれると癖になり、かなり印象深く記憶に残りました。
十年以上前に一度読んでいるのですが、その時とはまた読後感が違っていて、一種突き抜けた人を描いた物語……という感じが非常に強かったです。
すべてがFになるを思い返してみても、これは作者的な特徴なのかもしれないと思いました。
ともあれお話自体はスタンダードにミステリとして楽しめて、素直に読めました。特に後半部分がとても良いです。
理系ミステリと呼ばれるだけあり、ちょっと体力は使うので、読むのは元気な時がオススメでしょう。
同作者のS&Mシリーズも面白かったです。私の出会いはすべてがFになるからでした。こちらも、The理系、という感じ。
タイトルのひねりも効いていて大変楽しい作品揃いです。
ミステリに触れたいときに、是非オススメです。
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