12 ふらっと朝湯酒(久住昌之)

 ふらっと朝湯酒/久住昌之/カンゼン、200ページ



 作者は孤独のグルメの原作ですっかり有名になった久住昌之です。ドラマ版の音楽も作っているんですよね、多才な人です。

 さてこちらは、あまりにもタイトル通りのコンセプトのエッセイ。

 朝からふらっと温泉に、そしてふらっと一杯引っ掛けちゃう。なんて贅沢な話なんでしょう!羨ましい!


 朝起きて温泉に赴くまではなかなか大変そうな様子なのですが、行ってしまえばこちらのものとばかりの展開になります。それもまあ当然か……。

 確かにこの作者にして孤独のグルメありだな、と思います。なるほど。


 作者のとてもゆるい語り口と雰囲気、少し癖のあるものの見方や好みと相まって、なんともゆるーい気持ちになります。同時にくつろいだ気持ちにもなれます。

 不思議な魅力があるんですね。


 概ね東京近郊の温泉施設が舞台になるのですが、時に足を伸ばすこともあります。

 でも何処に行っても共通するのは、漂うB級感。

 本書はそれを全身で楽しむためのエッセイだと思います。

 まさに脱力のための一冊です。

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