11 くいいじ(安野モヨコ)

 くいいじ/安野モヨコ/文春文庫、374ページ



 マンガ家である作者が、食べ物のイラストとともに、食べ物について語った食べ物語。


 表題にあるとおり、たしかに安野モヨコ、思いもよらぬほど食い意地のはった人物です。

 つづられるのは癖がなくてすんなりと読める文章ですが、その文章も食べ物への情熱に満ちています。


 非常に読みやすくて、さくさくと読めてしまいました。

 画力の高いマンガ家さんなのは知っていましたが、こんなに面白い文章も描けるとは……。人に宿る才能というのはひとつではないようです。


 作者自身はといえば、料理はそんなに得意ではないという風に語っていたけれど、載せられた料理は十分お洒落ですごいです。

 食べ物好きな人の食べ物の話は見ていてとても楽しく、この本もまたそんな一冊です。


 時々夫である庵野監督の話も出てきて、なかなか癖の強い人物だなと思いながらも、夫婦の仲良さにはほっこりさせられます。


 読み終わった時に、またこうしたエッセイを書いてほしくなるくらいに素敵な作品です。


 同作者のオチビサンというマンガも好きです。絵本のような世界なのですが、フルカラーで季節が語られる素敵な作品です。

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