13 旅行者の朝食(米原万里)

 旅行者の朝食/米原万里/文春文庫、272ページ




 表題が何なのかと思えば、なんと、ソ連の缶詰のことだそう。

 食い意地の張った作者の、食べ物に関する随筆集。

 エピソードも豊富で、なかなかに読み応えがあります。


 海外生活も多かった作者らしい、東欧やソ連辺りの生活感溢れる、日本にいては想像しえないエピソードが印象に残ります。

 本書から読み取る限り、国と国との食文化の壁は、思っていたよりずっと高いもののようです。


 寓話に纏わるつらつら話も多いのが心に残っています。

 世界各地で妙な共通性もあれば、大きな隔たりもあるものだと。

 なんだか不思議なものですね。


 それにしても一文一文は結構長めに感じる書き方でした。事物を詳述する理知的タイプの文章は、読み込むのにやや時間がかかってしまい……。私にはやや相性が悪いのかもしれないのがちょっぴり悲しかったです。


 それでもたくさん得るもののある、楽しいエッセイでした。

 共産圏の話に強くなれますね!

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