　山とそば／ほしよりこ／新潮文庫、183ぺージ

　作者はおそばが大好き。

　したり顔で語ったりはしないけれど、そうなのです。

　本書はほしよりこの手書きの絵と文で綴る素敵な旅のお話です。

　ほしよりこと言えば、有名なのは猫村さんですが、こちらの本も私の大好きな作品です。

　ジャンルとしてはコミックエッセイでしょうか。絵日記という方が近いかも。

　はじめは独特のレイアウトに慣れなくて戸惑ったけれど、慣れてくると味のある絵のタッチと文章、にじみ出る作者のかわいらしさを、すっかり気に入ってしまいました。

　鉛筆で描いておられるのでしょうか。本当に独特の味わい深いタッチのイラストなのです。それでいて確実な画力があることが何となく感じられる、絶妙なゆるさです。

　旅の場所は松本近辺、宮島岩国近辺、熊本、おまけでスパリゾートハワイアンズ。

　おいしいものを食べたり、白蛇に会いに行ったり、温泉で湯あたりしたり。そして一人の時間の楽しみ方もとても上手です。

　私も聖地巡礼と称してこの足取りを追ってみたくなりました。本当に素敵な旅です。いつかやってみたいと密かな野望を抱いています。

　どこに行ってもちょっとしたものに目をとめて、いつもマイペースに楽しむ作者の姿は深く印象に残っています。

　旅をするならこういう方と一緒に行くのが楽しそうです。

　それにこんな風に絵日記をつけながら旅をするのも楽しそうです。

　元気な時も元気でない時も読めます。

　繰り返し読んでいる、大好きな一冊です。

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