07 タルト・タタンの夢(近藤史恵)

 タルト・タタンの夢/近藤史恵/創元推理文庫、253ぺージ



 日常系ミステリの傑作!

 街のビストロ、パ・マル、普段は無口で愛想がよいとはいえない三舟シェフが、お店に持ち込まれた小さな不思議をするりと解いてしまうお話です。


 ア・ラ・カルトのようにさまざまなタイプの短編が詰め合わせられた本作では、殺人などの派手な事件が起こるわけではありません。

 しかしそれでいて全く飽きることはないのが、面白さを象徴していると思います。近藤史恵の手腕ですね。


 それにしてもお話とともに出てくる料理の美味しそうなことといったら……!

 心遣いの効いた季節の料理、そして取っておきのヴァン・ショー。

 近所にあったら通いつめてしまう、ぜひとも近所にあってほしい……素敵なビストロのお話でした。


 日常の謎として読むのも面白いのですが、現代ドラマとして読んでも、食べ物のお話として読んでも楽しめます。

 何重にも面白い魅力的な一冊です。


 食べ物系のエッセイばかり載せてきたので、ここらで別のジャンルを……と思ったのですが、やっぱり何処か食べ物から抜けきれませんでした。

 ご愛嬌と思って頂ければ幸いです。

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