04 土を喰う日々 我が精進十二ヵ月(水上勉)
土を喰う日々 我が精進十二ヵ月/水上勉/新潮文庫、272ページ
「畑に相談する」というのは作中で使われた印象深い言葉です。
この本は作者の小僧時代の経験を生かした精進料理と共に、十二ヶ月の間、季節と密接に寄り添った食生活を綴っていく随筆です。
少し前に映画にもなっていましたね。そちらは見ていないのですが、登場人物がちゃんといてストーリーが組み上げられているもののようでしたので、本書とは少し差異があるかもしれません。
さてお話を戻しまして。
素材を無駄にしない、あるものをあるがごとく感謝しながら余さず頂く、というただそれだけのことのどんなに難しいことか。
食品ロスの問題が叫ばれて久しい現代だからこそ、この本から考えさせられることはたくさんあります。
畑に相談するとは、自ら作っている畑にある季節のものを見繕うこと、そして心尽くしに丹念に料理すること。
シンプルで基本的なことのようですが大切なことです。また、簡単ではないことだと思います。
得られた素材を一片まで無駄にしないということは、泥臭いかもしれないけど、まさに精進の形といえるのかもしれません。
そしてある意味、それこそが人間という存在の食の根本であるようにも感じました。
清々しく静謐で、素朴な空気を感じさせる名随筆だと思います。
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