02 わたしの献立日記(沢村貞子)
わたしの献立日記/沢村貞子/中公文庫、239ページ
献立といえば、台所を預かる者を毎日悩ませてくれる手強い相手です。
夜ごはんを食べながら次の日のごはんを考え、冷蔵庫をのぞいては頭を抱え……。
そんな身としては興味を持たずにはいられないタイトルです。
作者の沢村貞子は、女優としても有名な人ですが、エッセイストとしてもまた有名な人です。
これはもう読むしかない本だと思って読みました。
この本の中身は、二十六年にも渡り、日々綴られてきた献立。それにコラムや日記の由来などを添えて、本の形になったもの。
二十六年間献立を残しているという時点で私にはもう真似出来ないと思いました。
しっかりした方だったのでしょうね。
興味深く思ったのは時の流れとともに献立の雰囲気が変わっていくことです。途中からは朝食も記すようになったりと……。
季節ごとに旬のものを使ったり、好評だったメニューを作ったり、新しいものに挑戦したり。
食材のやりくりや使い回し、季節の変化が献立から読み取れるのが実に面白かったです。工夫していく心って大事ですね。
女優としても活躍しながら、毎日の献立をこれほどしっかり組める著者のすごさに舌を巻きました。
この本は思った以上に多くの部分が、献立の抜粋でできている本でした。著者の味わい深い文章を楽しむのなら別の本が良いのかもしれません。でも私にとっては大変素敵な本でしたし、我が身を振り返って背筋が伸びる思いでした。
日々の食事の大切さが身に染みます。
本編とは関係ないのですが、解説の平松洋子の文がこれもまた良かったです。
献立日記、カクヨムにも書いておられる方がいらっしゃいますね。沢村貞子のことも、そんな方々のことも素直に尊敬する、あまりマメではない夕雪でした。
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