第11話~昨日の岩瀬から砂山への電話~
「砂山中将閣下、ご無沙汰しております。軍本部の岩瀬です。」
「岩瀬少佐、元気ですか。君の活躍はこっち(呉)まで聞こえていますよ。」
「恐縮です。お電話しましたのは、実は、111号の今後について、解体・撤去の方針が変更となりました。変更内容は111号は新日本郵船へ引き渡し新日本郵船の資金により輸送船へ改修を行い、改修工事は三階菱重工業が行い、海軍は呉工廠のドックを三階菱重工業へ貸与することになりました。青木少尉の思いが(軍本部に)十分に伝わりました。」
「良かった。呉の職員全員と、何よりも111号が一番喜ぶと思います。君(岩瀬少佐)が頑張ってくれたのでしょう。皆に代わりお礼を言います。本当にありがとう。」
「そんなことは、ないです。実はお願いがあります。明日、青木少尉の上官の津田少佐が閣下(砂山中将)に軍本部の指令についてご報告にお伺いに参りますので、要件が終わりましたら、津田少佐が直ぐに本部に戻るようにして頂き度く、お願いいたします。」
「相分かりました。何かあるのですか。」
「彼(津田少佐)の素行に問題がありまして、本部にある彼の私物等一切、異動先へ送るつもりです。」
「問題とは?明日、(津田少佐と)会うのであれば素行の問題点を教えてほしい。」
「今回(111号)の件で、津田少佐が青木少尉に行った理不尽な暴力。無抵抗の青木少尉の顔が崩れるくらい何度も何度も殴り、私が偶然通りかかり、廊下側から室内で起こっている事の状況について壁越しに聞いていました。津田少佐は腹いせに殴ったと言わざるを得ない。このことがあり、関係各位に津田少佐の素行を調査してみましたら、言動共に(津田は)最低の人間だと分かりました。本部に戻っても彼(津田)の机は無い。異動先の南方への船の片道切符があるだけです。」
「明日、津田少佐と会い人となりを見てみましょう。」砂山が答えた。
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