第3話 桃色発情期~今夜はお楽しみですね~
バーン君が立ち去った後、咳払いをしてから金髪ちゃんに声をかけることにした。空のバスケットを拾い上げて渡しつつ、ウインクとともに自己紹介をする。
「オホン。そうだ、自己紹介が遅れたけど俺はグレイブ。今日からこの学校に通う事になっている転入生なんだ。で、こっちは俺の従者のラヴェル。一緒に学校に通う事になってるんだ」
「宜しくお願いしますですわ~」
俺の声に続いてラヴェルがぺこりとスカートの端を持ち上げてお辞儀をする。きちんと従者として教育されているラヴェルの所作は作法にのっとってきっちりしている。
「あっ、これはどうもご丁寧に……えっと、私はラキシス・ベルリオーズと申します。宜しくお願いしますね、グレイブさん、ラヴェルさん。……私たちの口論に巻き込んでしまってすみません」
仕切りなおして挨拶とお詫びををしてくるラキシス。う~む、間近で見るとすっごい美人さんだった。肌のきめ細かさとか、日々の手入れに相当気を使っているのが解る。素材の良さを努力で磨いている美人さんだな。
「なぁに、気にしないでくれ。女の子の哀しそうな顔を見てみぬふりはできないからな!」
そんな俺の言葉に、困ったような、そしてどこか寂しそうに笑うラキシス。
その目がわずかに赤く潤んでいるのは、料理を落とされた悲しみか、それとも辛辣な言葉を投げかけられたからだろうか?……しまった、あのバーンとかいうやつもっときっちりシメておけばよかったな。
「ところであの、本当にお腹は大丈夫なんですか?」
話を切り替え、再び心配そうな様子で聞かれたので安心させるように両手でピースサインをしながら笑顔で答える。イエーイラキシスちゃんみてる〜?とダブルピースをキメちゃうモンニ!
「モロチン、じゃなかった勿論さ!
丁度餓死しそうなくらい飢えてたから助かったよ!このままじゃ飢え死にして餓鬼になるところだったし、まさに地獄の沙汰もなんとやら。
命の恩人だぜお嬢さん、このお礼はいずれ身体で払わせてもらうぜ☆」
おちゃらけて冗談混じりに明るくいったが、ラキシスは反応に困って何とも言えない表情で乾いた笑いをしていた。スベっちゃったかな?
そこから話を聞いてみるとラキシスも俺達も同じ2年の魔導学科ということだった。さすがにさっきの男子と何があったかとかプライベートな事には踏み込まなかったけれど、またいずれ話を聞く機会もあるだろう。目が遭ったから縁が出来た!ってやつだよ。
そんなラキシスに職員室に案内してもらってから別れて、俺達は担任だというやる気のなさそうな女教師と挨拶をかわした後に教室へと連れて行かれた。
担任に促されたのでラヴェルを連れて教室に入った後、元気よく自己紹介をする。
「俺はグレイブ、グレイブ・ランスピア!ハジけてやらかしてたら追放されちゃった系男子だぜ宜しくイェーイ!!ハピハピハッピー⭐︎」
そう言ってビッサムズアップをすると教室がシーンと静まり返った後、ワッと笑い声で賑やかになった。
「わははは、何それウケる!」
「なんかすごくキャラが濃いのが来たわね……」
「いやー面白くていーじゃん。でも追放って感じのキャラじゃなくない?」
おっ、教室では好意的に受け止められたようだ。……いやぁ、冗談で言ってるんじゃなくて真剣なんだけどな、本気と書いてマジと読む。まぁいっか。
どうやらクラス全体の雰囲気は賑やかで楽しそうだ。
よくみるとさっきであったラキシスもいるし、さっきケツまくって逃げて行ったバーン君もいて、バーン君は教室の窓際列最後尾の席でブスっとした顔で外を見ている。アイツも同クラなのかー。
「バーンのやつが不機嫌なの、朝から地面にめり込まされたからしいぞ」
転校生に盛り上がる教室で教室の中で聞こえるヒソヒソ声も聞き逃さない。やっぱり朝の件噂になってるんだぁー。
苦虫を噛み締め続けている悔しそうな顔してるけど、朝の一件であなたは地面めりこみちんちん殴られ男、一方俺は賑やか転校生、随分と差がつきましたぁ。悔しいでしょうねぇ。これに懲りたら食べ物を粗末にすることや女の子にキツく当たるのをやめる事ですね。
そんな事を考えている間に、今度はラヴェルが自己紹介を始めた。
「私はラヴェル。ラヴェル・ヴァリエールと申します、宜しくお願いいたしますですわ。グレイブ様の従者をしていますですわ~」
そういって優雅にお辞儀をするラヴェルに教室の中の男子の何割かが感嘆の溜息を零している。ラヴェルもまた間違いなく極上の美少女であり、見た目の可愛さであればラキシスと並ぶほどだと思う。ラキシスちゃんはたわわでラヴェルはつるぺただけどな。健全な男子が見惚れるのも無理はない。でもごめんなラヴェルは俺の従者なんだわー。
というわけで転校初日は転校生おきまりクラスの仲間からの質問攻めにあいつつも賑やかに終わった。その間、バーン君は教室の隅で一人、つまらなさそうに舌打ちをしていた。もっと教室の話の輪に加わればいいのにと思わんでもないが、……まぁ今はいいか。あのバーン何某とラキシスちゃんについては、関わったのでこれからいろいろ気にかけてみるとしようか。
そんなこんなで転入初日が終わった後、俺はラヴェルと一緒に寮の自室へと向かった。ラヴェルはここの生徒であるが俺の従者でもあるので、俺と同室で過ごすことになっている……まぁ実質同棲みたいなもんだ。
尚、追放されても実家がそれなり~の家柄なので、割と良い寮に部屋があったりする。
部屋の鍵を開けて部屋に入ると、そこには前もって送っておいた箱詰めの荷物が部屋に積まれていた。
「それじゃ荷解きするかぁ」
よしっ、と腕を回して気合を入れたところで、ドアを締めてカギを中からかける音の後、と~っても蠱惑的なラヴェルの声が背後から聞こえた。
「ご・主・人・様♡そんな荷物の紐なんかよりも……こっちの紐を解いて欲しいのですわっ♡」
振り向いた先では、頬を赤らめてスカートをたくし上げたラヴェルが俺を見ている。スカートの下、両サイドをヒモで結んだショーツが露わになっており……その瞳がハートになっているやつだこれ。俺に解けというのかっ、そのショーツの、ヒモパンの紐を……!!!
「追放されてからの長旅でぇっ、ずっとご無沙汰でぇっ、もう疲れちゃって全然動けなくてェ、……我慢できないですの♡」
「―――まったく、ご主人様を誘惑しようだなんて……このぉ、淫乱ピンクちゃんがぁっ!!」
そう言いつつ両手を広げてラヴェルを追いかけるが、ぴょんぴょんとスキップしながらベッドへと走ってい。そのままするっと靴を脱ぎ捨てベッドの上で転がりあおむけになると手を広げ、俺を受け入れる姿勢をとるラヴェル。
流れるような動作、もう完全に頭はハピハピハッピーじゃん。
「悪い子はどこだぁ〜っ」
「きゃ~っ♡食べられちゃいますの~♡♡♡」
喜びいっぱいの声をあげるラヴェルを追いかけて、俺も靴を脱ぎぴょいっとジャンプして飛び込む。ぴょいっとヤレルヤァ!添え善喰わぬは男の恥よ、さぁ一戦仕る!!
闘志を胸に決意する俺を即座に両足でホールド……というかだいしゅきホールドしてくるラヴェル。このえちえちピンクちゃんめぇっ……!!
「お預けされた分、いっぱい、い~っぱい可愛がってもらいますわ~♡♡♡」
はぁはぁと息を荒くしているラヴェル。これは今日は簡単に寝させてくれそうもない。
――――今夜はお楽しみですね。
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