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夏空や白糸追はれ雲の端


真空にタルトは溺れ夏の星


遺品一つ深紅のタルト梅雨長し


コーヒーをミルクが一周するあいだ


雲の峰まだ一廉ひとかどになりたいか


円形の海市に過ぎぬ白昼夢


早苗田やブーベ島より使者きたる


労働歌コーヒーの香は垂直に


蝶飛ぶや空気の海を漕ぐごとく


揚羽蝶言葉を拒絶する軽さ


蜂取るや四肢の花粉は成就せず


滅びれば祭提灯れしまま


体内に闇ゆき渡る水着かな


歩けばまず鼻にかかるは蜘蛛の糸

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俳句@置場 佐伯 安奈 @saekian-na

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