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自死ならば身投に尽きむ燃薔薇もゑさうび


深海に眠り溶けゆく眼となりぬ


蚊の命奪ふ時のみ躊躇なし


鉛筆で引き直してる五月闇


五月闇父祖伝来の五寸釘


死にきれず偉人となるや青時雨


氷菓滴る指を舌舐めぶらじりや


茅花流し木馬に乗って忘恩行


黒南風や労働いつか爆発し


この一文初の句点に至るまで「の」が六つあり吉本隆明


人混みという虚塔群青嵐


凸に登攀して屈折の尺取虫


墓碑のまま生き続けるかなみ無限


まっさらで死にゆく春を着飾れり


白衣陥穽澪の耽溺絞殺魔

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