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卯の花腐し珈琲を橋に撒く


春猫は闇の嬰児と嘆きおり


頭蓋骨皮にくるみて談笑す


電線に電気は流れ五月闇


らい遥か叱声低く茶葉を棄つ


毒を呑む金原の本五月闇


何かひとつ惜しむ気になりちり紙など


みな死ぬと思へば黙り五月闇


豆腐崩して砲火の下のビルディング


白地図に黒人棲めり花柘榴


倦怠や人体模型地軸指し


この赤児どんな悪態つく薄暑


時に駄菓子極彩色や青嵐


指・ほそき焔と消えし五月闇


寵童の墓標朽ちざり笛渡る

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