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国境に草むしてなお国境で


国境を知らずに死んで青嵐


滅亡を颯爽とゆく青嵐


青嵐怒りをくるみ散開す


一切の星寄り添はず青山河


乳房山根源の水脈みお絶つ夕陽


根の鼓動ふるひつくほど島の滝


霊柩車通過鯉のぼりをしまう


彼方には夢のさきわふ枯野かな


痛みつつ樹々は悼みて水の道


辺土若葉に覆われし国境はいづこ


針葉樹林八重歯を隠しつつ笑ふ


空割れし地上に男それは凪


国境をゆく断念は淡き花


国境に花ふる世棄てばかりなり


霧野ゆく馬振り向かず真駒内

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